東日本大震災(平成23年3月)
津波はまるで大きな川のよう~大きな木も根こそぎ流された~
(名取市 60代 男性 農家)
津波はまるで大きな川のようになって、畑のビニールハウスやドラム缶、消防ポンプやトラックなどそこにある物すべてをのみこみながら、私たちの目の前をゴーゴーと流れていきました。大木が流されるほどの強い流れでしたからね。近所の娘さんは泳いで何とか助かりましたが、お父さんお母さんは津波の犠牲になりました。
ちょうどその日は、レタスとチンゲン菜の初収穫の日だったのです。うちの奥さんが採った野菜を車に積んで家に帰ったところで、やってきた津波で車は流されました。それから3、4日して、やぶに引っかかっているうちのバンタイプの軽自動車が見つかりました。
車は使いものにならなくなりましたが、野菜を入れていたコンテナは重ねていたので、下の段は泥になっていたけれど、上の段は野菜もきれいでした。で、みんながそれを「野菜がなくなったから」と言ってもらっていきました。うちは野菜中心の食事ですから畑がやられるとどうにもなりません。当時は店にも何もなくて大変でした。
海から3キロも離れているこの地域にまさか津波がくるとは思ってもいませんでした。あれから2年半、震災当時の苦労話をしても、ここから少し離れた駅周辺は全然被災していないから話が合いません。もう風化しつつあるんです。
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