できる人がやるしかない~津波の合間に必死の救助~

東日本大震災(平成23年3月)

できる人がやるしかない~津波の合間に必死の救助~

(釜石仮設団地 60代 男性)

できる人がやるしかない~津波の合間に必死の救助~のイラスト

テレビでよく映像が流れますが、映像で見る震災の状況と、実際に肌で感じる臭いであったり、風であったり、音であったりというものとは、全然違うわけですよね。泣き叫んでしゃがんで立てない人もいたけれど、みんな自分がどうするかが先決で、それをかまってやれない状況でした。

人が流されているのを上から見て、「電柱なり、ポールなりにとにかく捕まれ!離すな!離すな!」と言っておいて、波が引いて行った時に降りて行きました。いつまた津波が来るか分かんないから、こっちは早く助けに行こうとあせるけど、膝の高さまで水があったら身体をもっていかれちゃう。やっとたどり着いても、物にすがっている人は、手を離せと言っても硬直しちゃって離せない。もう水を含んでいるから重いでしょ、二人ぐらいで抱き上げて助けました。

次に大きな波が来た時、さっき人を助けていた時に来ていたらどうなったんだろうと思ったけど、その波が引くと、だまって見ていられないんです。感謝もなにもあの時はそれが当たり前でしたし、足がすくんで助けに行けない人が悪いんじゃないんです。できる人がやるしかない、誰を恨むじゃなしにね。

自分たちはこの震災で全てをなくしてしまって、ゼロどころか、マイナスからのスタートになっちゃった。じゃ、その気持ちをどこにぶつけるかといっても、ぶつける場所がないんですよね。自然しかないんです。あとは自分たちがこれからどうしようと考えるしかないんです。

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