東日本大震災(平成23年3月)
たまたま身につけていた運転免許証が意外なほど役に立った
新地町 70代 女性 自治会役員
インタビュー日:2012年9月19日
あの日、私たち夫婦は新地にいませんでした。全国津々浦々を旅して来て、最後に残った山陰の名所を「これが最後の旅行かも」と言いながら2泊3日で訪ねていたのです。3月8日に起こった少し大きな地震を思い、「帰ったら家がなくなっていたりして」と冗談を言っていたのですが、まさかそれが現実になるなんて……。
東日本大震災の発生は飛行機の中のテレビ放映で知りましたが、当日は関西空港近くに戻ることしかできず、翌日、日本海側経由で何とか仙台まで戻りました。やっとタクシーを捕まえ新地町の北の宮城県山元町にある義姉の家にたどり着いたのは13日の真夜中。以前の避難訓練のときに、義姉の家を避難先に想定していたことは幸いでした。
その後、自宅のあった場所に行ったときのショックといったら……。土台だけになった我が家を前に、完全に浦島太郎状態。地震を経験しなかった分、受け入れるのに時間がかかりました。
ぼう然自失のまま避難所生活に入りましたが、救いだったのは、夫婦そろって運転免許証を身につけていたこと。新地では役場も農協も郵便局も機能しており、免許証でいろいろな手続きが可能だったのです。常に、免許証やパスポートなど身分を証明できるものを何か持っているといいと思います。
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