「津波の第2波が来る前に逃げた」

南海地震(昭和21年12月)

津波の第2波が来る前に逃げた

(徳島県海部郡 70代 女性)

津波で流されている間は、家族のことは頭に全然なかった。ちょっと薄情なぐらいに。自分が生きよう生きようという気持ちでいっぱいでしたね。

潮も引いて、足も立つようになって、「あ、そうだ、お父さんやお母さんたちはどこまで流されたんだろう」と思いました。「早う探しに行かないかんなあ」と思っていた時に、私が敷居につかまっていたその家の中から話し声が聞こえてきたんです。

「だれかいるん、だれかおるーん?」と2回ほど聞いたら、「おるぞー」という声がしました。お父さんでした。お母さんも姉も中にいて、親子4人が、「命拾いしたなあ」と、肩を寄せて、もう泣くばかりに、喜びました。

だけど、津波って、2回、3回と来ると聞いていたので、「早う逃げないかん」言うて、母は足にケガをして血を流していましたが、姉と私が両方から支えて、みんなで裏山の方に逃げました。

途中、2人ほど、女の人が亡くなっていました。ハッとしました。でも、私はどうすることもできんしね。後ろ髪を引かれる思いで山のすそまで来ると、第2波の津波が押し寄せてきました。

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