雲仙岳噴火(平成2年11月~平成8年6月)
避難所はすべて一緒ではない
(島原市 50代 男性 市役所職員)
避難所とひと口で言っても、知り合いや家族が亡くなっている人たちがいる避難所や、家が燃えてしまった人たちがいる避難所もあれば、「まだ安全なんだけれども、もう少し範囲が広くなるかもしれないから避難している」という人たちがいるところもあり、さまざまです。
わたしは、市の職員として地区の役員たちと一緒に毎日各避難所を回りながら、いろいろな情報を集め、苦情を聞いて、それを市役所に届けるという仕事をずっとしていたわけですが、避難所によって、温度差というか、その場のふんいきに大きな違いがあるのを肌で感じました。
避難生活が長引く中、火砕流 ※ の恐ろしさを知っていたなら、もっと早く避難できたのにという思いが日増しに強くなりました。当時、行政も、市民も、火砕流そのものの知識がなかったし、火山についての正しい情報も得ていなかったのです。
※火砕流は、高熱の火山岩塊、火山灰、軽石などが高温の火山ガスとともに山の斜面を流れ下る現象で、流下速度は時速100キロメートルを超えることもあります。