平成21年7月中国・九州北部豪雨(平成21年7月)
今年は書けない「明けましておめでとう」
(防府市 50代 男性)
確かにゴーッという音がしたけれど、まさか山が崩れてくるとは夢にも思いませんでしたね。それに、サッシだと防音がしっかりしているから、あまり外の音が聞こえないんですよ。気がついた時には、もう目の前に土石流が迫っていました。
その時、僕の車がパーッと家のほうへ動いたんですよ。それから、すぐそばにとめていた軽四トラックがバーンと家に当たったと思ったら、土砂が家の中に流れ込んできたのです。後日、家を見に行くと、大きな岩が入り込み、自分のいた部屋には太い丸太が突き刺さっていましたが、その記憶はまったくないんです。それだけ自分が避難するのに集中していたんだと思いますね。結局、僕の車は80メートルぐらい流されて、田んぼの中で見つかりました。
災害後、近くの中学校で、「日ごろは濁ってないのに濁った水が出たときには、よう気をつけなさいよ」という話をしました。
いつもなら、今ごろは年賀状を書いているころだけど、「明けましておめでとうございます」とは、ちょっと書けないですね。時間が早く過ぎてほしいという気持ちもあるけど、この平成21年7月21日というのは、やっぱり僕らの頭の中から消えないと思います。