「2度目の経験記録に残そうと写真撮る」

平成11年台風第18号(平成11年9月)

2度目の経験記録に残そうと写真撮る

(宇部市 60代 男性)

私は2回ほど台風災害に遭っているんですよ。1回目は昭和17年、小学2年の時でした。この時は、父も母もどこに行ったか、家族全員バラバラになりました。自分は知らない人に山の手の方に連れて行ってもらい、3日ぐらいその人の家でお世話になりました。その後、家に連れてきてもらって、ようやく姉弟たちと再会できたという非常に悲しい経験を持っています。

それから約50年後、その時の災害のことなんか、すっかり忘れていました。「ああ、台風が来る、すごいな」とか言うて、家の中から庭を見ておりましたら、瞬く間に水が胸まで来たわけです。家内が「助けてくれ」と言ったって、どうすることもできない。最悪の場合、屋根に上がるかという話をしておりましたら、水が引き始めたんです。

「よし、この際写真を撮ってやろう」と思って、胸までつかってこの写真を撮りました。写真に写っているのは、流されてきた車です。「この中に人がいるんです。助けてください」と言ったって、どうにもならなかったんです。

水害のときに一番悲しいのは、助けてあげたくても、自分も浸かっているから助けてあげられないということ。だから、自分は一生懸命逃げる。それしかないと思うんです。

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