平成11年台風第18号(平成11年9月)
1.5mの家の嵩上げを過信
~床板流され14畳の深い池~
(宇部市 60代 女性)
確かに前日には台風が来るという情報は十分知っていたし、「いつもよりでっかいし、ヤバいな」と思っていました。でも、台風は1年間に1回じゃないし、以前から何度も来ているというところで、「いつもの台風か」と。
宇部では昭和17年にも大きな高潮があって、そのときには床板まで水につかったと親から聞いていました。で、我が家を建てかえるときに座を高くするということで、道路から床まで1メートル50ぐらいの高さにしたんです。だから、「ぜったい大丈夫」というのが自分の中にあったんだと思います。
畳ってものすごく簡単に浮くんですよ、フワフワ、フワフワと。畳の上にあるものは扇風機も何もかも倒れたし、机の上に置いていたものは、ズ、ズ、ズっと下に落ちていきました。
そのうち、畳を支えていた長い座板もプカプカ浮いて流れ出しました。座板がなくなった床下は、床を高くしたために1メートルぐらいの深さなんですよ。そこに真っ黒な水がたまっているのが見えるんです。敷居と桟だけ残った8畳と6畳の二間続きの座敷の下は、まるで池のようでした。私は、「もし、落ちたらどうしよう」という恐怖心でいっぱいでした。