「膝までの水にパソコン持って部屋の中をうろうろ」

（宇部市 30代 女性）

当時、父がお店をやっていた関係で、旧道沿いに住んでいました。旧道のすぐそばに側溝があって、それまでも大雨が降るとしょっちゅう水があふれたりしていたのですが、家まで水が来ることはありませんでした。

あの朝はものすごい勢いで雨が降っていたので、「もしかしたら浸水するかもよ」なんて言っていたんですけど、あっという間に、水がどんどん押し寄せて来て、和室の畳がグラグラと浮いてきたんです。すぐに家の中は洪水みたいになって、2階がないから少しでも高いところに行こうと家族みんな必死でした。実際、私の目の高さくらいまで、高潮の水が来たんです。

ヒザぐらいの高さまで水が来たとき、パソコンを買って間がなかったので、「パソコンをちょっと避難させよう」とか言って、両手で抱えて逃げようとしたんです。でも、「そんな重たいものを持っている場合じゃないでしょ、捨てなさい！」と、親に言われましてね。

しばらくはパソコンを胸の高さまで持ち上げていたけれど、あきらめて手を離しました。水の中にポイと。すごく悲しかったです。