東海豪雨(平成12年9月)
1軒、1軒叩き起こして「避難してください」
(名古屋市 60代 男性 消防団員)
私は消防団員であり、民生委員でもあるので、水害時には消防活動が先か、1人暮らしのお年寄りのケアが先かと悩んでしまいます。
あの日、出動準備をして待機しているところへ団長から詰所の方へ来るようにという連絡がありました。集まってすぐに仲間4人で消防団の消防車に乗り、受け持ちの地域を「避難してください」ってマイクで流してまわりました。
特に川の近くの心配な地域では、1軒、1軒、たたき起こして、「避難勧告が出ているので、小学校の方へとにかく早めに避難してくださいよ」って言ってね。起きてこないところはいつまでも戸を叩いているわけにもいかないもんで、起きたところだけ伝えました。
その頃はまだ水が増えたり、引いたりしていて、道路の水は消防車のタイヤの半分ぐらい。まだ十分避難できる状態だったので、「年寄りの人は早く避難してくれればいいな」と思っていました。でも、まさか堤防が切れるとは誰も思っていなかったんです。