観光協会幹部らが花火の打ち上げ決定 一生の思い出と感謝の声

平成30年北海道胆振東部地震・全道停電

観光協会幹部らが花火の打ち上げ決定
一生の思い出と感謝の声

40代 女性 観光協会職員

私は、温泉のバスターミナルにある観光協会の窓口で働いているのですが、停電後の朝も、いつもと同じくらいバスターミナルは観光客で溢れかえっていました。日常茶飯事の光景なので、地震の影響とは思えなかったのですが、実際は違ったのです。インバウンドで来られた方が、次の目的地に行きたいがどうしたらいいかなど、次から次へと相談に来ました。JRも高速バスも運休でした。日本語が分からない方ばかりで、一人ひとりへの案内を私一人でするにはどうしようもない状態でした。

そんな中で、観光協会に各ホテルの支配人が自発的に集まってきて、「連泊する人もいるんだけど、停電中で、食事をどうしようか」、「連泊をする人からは、お金は取れないよね」、「どこか受け入れ先はありますか?」などと課題を話し合って、「今できることをやりましょう」と、パパッと午前中に対応方針が決まっていきました。

洞爺湖では毎夜20時45分から約20分間、花火を打ち上げているのですが、観光協会の会長もいるときに花火屋さんも来て、花火をどうするかという話になりました。

そうしたら、「やらない理由がまず見当たらない」、「上げましょう」と、5分くらいで実施が決まりました。その時私は、心の中で“花火は中止だよね、花火よりこの外国人の方々をどうするかだよね”としか考えていませんでした。

花火が打ち上がった後、すぐにYahoo!のトップニュースで報道されました。コメント欄には、停電で足止めとなった宿泊客の人が肯定的に書いてくれていました。肯定的なコメントばかりで、否定的なコメントはほぼなかったので、びっくりしました。

翌日、観光協会の窓口にいたら、お客様から「何もなかったし、明かりもなかったけど、花火は本当にきれいだった」、「こんな風に見られることってないから、貴重な経験をしたよ、ありがとう」、「一生の思い出になった」などと声をかけられました。

皆さんに喜んでもらいたいと、日本がこんないいところだったと思って帰って欲しいと毎日仕事をしていたのに、花火はやらない方がいいと思った自分は何だったんだろうと思いました。即決で花火を打ち上げるという判断に間違いはなかった。温泉に住んでいる人は、すごい方たちです。私は、観光に携わっていて本当に良かったなと思いました。

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.