平成28年熊本地震(平成28年4月)
「一緒に、紅白?」
~避難所運営の難しさ~
熊本市 50代 行政職員 男性
地震直後から、避難所運営者として毎日新たに発生する問題解決に奔走し、「ああ、なんとか一日を無事に終えられた」と思う日々が長く続きました。「いつまでこんな生活が続くのだろう。地獄や。早く元の生活に戻りたい」と思っていたのに、いつの間にか避難所を運営することが当たり前のようになっていました。
ある時、避難者に「一緒に、このテレビで紅白が見られるね」と声をかけられ、はっと気づいたのです。避難所運営は、被災者を早く元の生活に返すことを目的として運営しなければならなかったと。
避難所に長く残る方の多くは、高齢の独り暮らしの方など、避難所を出てからの生活について考えることが難しい方でした。地震直後の避難所運営の大変さから、目の前の課題にばかり意識がいっていましたが、避難所を出た後の生活の見通しがつけられるような運営のしかたが必要だったと思いました。