令和3年5月に取りまとめられた内閣府の有識者会議「防災教育・周知啓発ワーキンググループ(災害ボランティアチーム)」の提言では、意欲のある地域の人材に対して、体系的なスキルアップの企画を提供することで、避難生活支援の担い手となる災害ボランティア人材を各地に増やしていくとともに、それらの人材や人材を擁する団体が、平時から自治体と連携・協働する体制を確立していくことが重要であるとしています。
内閣府では、このようなスキルの高い災害ボランティア人材が各地に育成され、その活躍によって認知度が高まり、さらに多くの人が研修を受講することで人材の層が増していくという好循環の仕組みを「避難生活支援・防災人材育成エコシステム」と呼び、その実現に向けて、体系的な研修体制の構築等を進めています。
「避難生活支援リーダー/サポーター研修」
事業の中心として行っているのが「避難生活支援リーダー/サポーター研修」は、近年、災害の激甚化・頻発化等により避難生活が長期化する中、地域のボランティア人材に、避難生活環境改善のための知識・ノウハウを身につけてもらうためのモデル研修になります。
これまで令和4年度・令和5年度にのべ11地域で開催、約500名が受講し、災害関連死を防ぐための知識や被災者との対人コミュニケーションを学びました。
こうした取組を通じて地域のボランティア人材の発掘・育成を図り、発災時には行政職員や支援者等と連携し、良好な避難生活環境の確保を図ることにより、「災害関連死・ゼロ」の実現を目指していきます。

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- 多様な主体間における連携・協働による「避難生活支援・防災人材育成エコシステム」構築の具体化に向けた検討会はこちら
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「避難生活支援リーダー/サポーター研修」プログラム
研修はオンデマンド講座による事前学習と、2日間の演習によって構成されます。内閣府のカリキュラム検討チーム会議にて、過去の避難所運営の支援経験を踏まえて検討された「演習」を中心としたプログラムになっています。
項目 | 講師 | |
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1 | 人材育成の必要性 | 村上威夫氏(内閣府(防災担当)参事官) |
2 | 支援者としての心構え、姿勢 | 栗田暢之氏 (全国災害ボランティア支援団体ネットワーク代表理事) |
3 | 災害「支援」の基礎知識 | 阪本真由美氏 (兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科教授) |
4 | 避難所における基礎知識 | 辛嶋友香里氏(ピースボート災害支援センター) 関真由美氏(日本赤十字社医療センター) |
5 | 被災者への配慮とニーズ対応 | 辛嶋友香里氏(ピースボート災害支援センター) |
6 | 避難所運営の知識とスキル① | 浦野愛氏(レスキューストックヤード) |
7 | 避難所運営の知識とスキル② | 辛嶋友香里氏(ピースボート災害支援センター) 浦野愛氏(レスキューストックヤード) |
8 | 日常からの取り組みの重要性 | 三谷潤二郎氏(倉敷市人権推進室) 松岡武司氏(倉敷市社会福祉協議会) |
参考 | 参加者の声 | 中村文哉氏(長野県危機管理部危機管理防災課防災係) 清水大樹氏(上田市危機管理防災課危機管理防災担当) 清野百花氏(上田市国保年金課) 竹内秀行氏(上田市民生委員) |
(1)開会等 10:00~10:30 | ○開会挨拶 ○オリエンテーション |
(2)講義・演習1 10:30~12:00 | ○講義:多様な被災者の理解とその配慮 ○演習:被災者の心情や状況の理解 ・被災者と支援者とのやりとり例を収録した動画を紹介し、紹介された被災者の心情や困りごとを話し合う |
12:00~13:00 | 昼食・休憩 |
(4)講義・演習2 13:00~15:40 | ○講義:避難所の課題と生活環境の整備 ○演習:避難所の課題と生活環境の整備 ・受付/情報コーナー1.2/物資提供/食事スペース/寝床1・2・3/洗濯物干しスペースそれぞれ避難所のスペースを再現 ・各スペースの巡回を行った上で、それぞれ「改善点」を話し合い、具体的な改善作業を行う |
(5)クロージング 15:40~16:00 | ・受講者同士のふりかえり、アンケート記入 ・2日目アナウンス、閉会挨拶 |

(1)講義・演習1 10:00~12:00 | ○講義・演習:対人コミュニケーション ・5人程度のグループにわかれて実施 ・「被災者役」「リーダー/サポーター役」「観察者役」の3つの役となり、コミュニケーションの仕方を体験する(2回実施し、それぞれの役を体験できるようにする) |
12:00~13:00 | 昼食・休憩 |
(2)講義・演習2 13:00~15:40 | ○講義・演習:運営の担い手との連携・協働の必要性 ・午前中の演習で扱った5つのケースについて、「被災者と一緒に取り組めること」「被災者以外の運営の担い手と一緒に取組むこと」を話合う |
(3)クロージング 15:40~16:00 | ・講師からのコメント ・名簿登録 ・修了書授与 ・受講者同士のふりかえりとアンケート記入 ・閉会挨拶 |

開催実績
令和4年度よりモデル研修を開始し、これまでに11市町村でモデル事業を実施、述べ515名が受講しました(述べ403人が名簿登録済み)。
【令和4年度開催実績】

【令和5年度開催実績】
令和5年度は、全国の都道府県に公募を実施し、以下10か所でモデル研修を実施する予定でしたが、令和6年能登半島地震の影響を受け、4か所の実施は中止となりました。

モデル研修講師
・浦野 愛(レスキューストックヤード常務理事/JVOAD避難生活改善に関する専門委員会)
・辛嶋 友香里(ピースボート災害支援センター/JVOAD避難生活改善に関する専門委員会)
・頼政 良太(被災地NGO 恊働センター代表/ 関⻄学院⼤学⼈間福祉学部助教)
・⼭中 ⼸⼦(親⼦⽀援・災害看護⽀援てとめっと/看護師)
・⼭根 ⼀毅(⼤阪YMCA 部⻑・ユース事業部責任者・グローバル事業グループ⻑)
令和5年度講師養成研修受講者⼀覧
・佐藤 純(Hand Over Japan 代表理事/集団災害医学会BHELP インストラクター)
・北村 育美(福島大学地域未来デザインセンター客員研究員/さすけなぶるファシリテーター)
・小山内 世喜子(男女共同参画地域みらいねっと代表理事)
・細谷 真紀子(減災Days 主宰、山形県自主防災アドバイザー、図上訓練指導員)
・土居 正明(日本赤十字社岡山県支部 組織振興課長)
・小柳 由佳(日本赤十字社長野県支部 参事)
・甘中 繁雄(NPO法人首都圏防災士連絡会 理事)
・水野 直樹(特定非営利活動法人 ソナエトコ 理事長)
・高智穂 さくら(特定非営利活動法人 ソナエトコ 理事)
※所属は令和6年3月時点