平成19年3月16日
内閣府
「災害時要援護者の避難支援における福祉と防災との連携に
関する検討会」(第3回)の議事概要について
1. 検討会の概要
日時 | : | 平成19年2月23日(金)14:00~16:00 |
場所 | : | 銀座キャピタルホテル(新館)2階「カトレア」 |
出席者 | : | 田中、伊藤、鍵屋、栗田、高橋(重)、高山、立木、田村、松尾、松原、高橋(洋)上杉、金谷(代理:足達)、赤澤(以上、敬称略) |
2. 議事概要
検討会冒頭、厚生労働省が福祉避難所についての説明を行った後、「市町村の取組における課題とその対応方策(素案)」と、「時系列的な災害時要援護者支援活動のフローチャート(案)」について検討を行った。
各委員からの主な意見は以下のとおり。
(1)「市町村の取組における課題とその対応方策(素案)」について
素案は市町村においてガイドラインに沿った取組が円滑に進むよう、先進的事例等の調査結果や検討会での検討を踏まえ、要援護者対策に取り組むにあたって有効と考えられる方策等をまとめたものである。
- ・関係機関との要援護者情報の共有に関する記述は、従来よりも踏み込んだ内容となっている印象を受ける。検討会の影響力を考慮すると、もう少し慎重な議論が必要ではないか。
- ・情報共有の根拠として「明らかに本人の利益になる場合」を挙げているが、発災後はともかく、発災前の提供は必ずしも本人の利益になるとは言えないと解する見解もある。根拠条文としては、「所掌事務の遂行にあたり必要な範囲内で内部利用し、その利用について相当な理由があるとき」のほうが、実務上は理解され易いのではないか。
- ・関係機関共有方式による情報共有とともに、1人ひとりの避難支援プランの作成について、要援護者自身の理解・同意を得るというプロセスが重要。
→ もとより、個別プランの作成にあたり本人の同意を得ることが手続として必要と考えているが、要援護者の所在確認等をシステマティックに行うには、関係機関共有方式による情報共有が最も望ましく、それは市町村の個人情報保護条例の規定を適切に解釈・運用することにより可能ではないかとの基本的な考え方をガイドラインで示してきた。
なお、報告書の記述は、こうしたガイドラインの考え方に沿った具体的な進め方を示したものであり、内閣府の個人情報保護推進室の確認も得ているところ(内閣府)。 - ・要援護者名簿を活用できるように地域住民や福祉関係者とどう連携を構築していくかの議論が必要。こうした地域の先進的な取組などをもう少し加えて紹介してはどうか。
- ・民生委員等の福祉関係者も地域防災に積極的に取り組んでいるが、実際の取組にあたっては個人情報の取扱をはじめ様々な課題に直面している。報告書は現場の悩みを解決するために参考となるような事例を整理して提供して欲しい。
(2)「時系列的な災害時要援護者支援活動のフローチャート(案)」について
フローチャートは、災害時要援護者に係る支援活動について、市町村が取り組むにあたっての一助となるよう、平常時、避難行動時、避難生活時の3つのステージごとに取組の手順等を示したものである。
- ・要援護者情報の提供に関する手続については議論してきたが、避難の優先順位を議論するには提供する情報の範囲に関する議論も必要。また、フロー中の要援護者情報の収集(要援護者の範囲の決定)と共有に関する手続についての記述も、両者が密接に関係していることがわかるように工夫すべき。
- ・避難支援プランに関して、要援護者本人の自助や家族のサポートについての記述を加えてはどうか。
- ・避難生活時の要援護者避難支援活動中に「避難支援関係者連絡会議」の設置があるが、平常時から同様の会議等において活動の役割分担等を予め決めておき、災害時にこれが立ち上がるような記述が望ましい。
- ・災害時要援護者対策は、災害直後の応急対応期で終わるものではなく、住宅の確保や生活の再建など復興期においても引き続き取組が必要。
(3)その他
- ・要援護者名簿は、関係者間で共有され避難支援活動に活用されるのが望ましいが、事後であっても、当該名簿は避難先での要援護者の掘り起こしや関連死対策等にも有効であるとの視点を持つべき。
- ・要援護者避難支援対策の取組は非常に時間がかかるもの。国においては、今回の報告書の完成をもって取組を終わらせるのではなく、市町村の取組状況の検証や評価、サポートを引き続き実施して欲しい。
3.今後の予定
第4回は平成19年3月中旬に開催し、報告書等の最終取りまとめを行う予定。
※ 配付資料のうち、資料2~4については、関係機関との調整中のものであるため非公表とします。