平成19年1月18日
内閣府
「災害時要援護者の避難支援における福祉と防災との連携に関する検討会」(第2回)の議事概要について
1. 検討会の概要
日時 | : | 平成18年11月30日(木)14:00~16:00 |
場所 | : | 東京厚生年金会館(ウェルシティ東京)4階「曙Ⅰ」 |
出席者 | : | 田中、鍵屋、栗田、高橋(重)、立木、田村、松尾、松原、笹本、高橋(洋)上杉、金谷(代理)、赤澤(以上、敬称略) |
2. 議事概要
- ・先進的な事例等収集のために実施した現地調査結果について、担当委員がそれぞれ報告を行い、質疑応答を行った(現地調査結果は資料1参照)。
現地調査に関する特記事項は、以下のとおり。 - ・災害時要援護者対策は、「住民主体の防災」をキーワードとして、市民の防災意識の啓発、地域コミュニティの再生、自主防災の活性化等とともに取り組むことも重要である。現地調査でも、要援護者の対象範囲等を住民との議論により決定する事例(長野県松本市)や住民向けマニュアルを障害者団体等との協働により作成する事例(大阪府堺市)など、住民との合意プロセスを重視している取組は参考となる。
- ・長野県松本市や駒ヶ根市などにおいては、地域コミュニティの力を活用し、それを行政が支援している。(検討の対象として)自治体自身による取組も重要であるが、住民、地域、企業、NPO等が主体となる自助、共助の取組や、こうした取組に対する行政の支援事例等についても盛り込むべきである。
- ・新潟県三条市や島根県出雲市など、合併により行政区域が広域化した市町村などにおいては、旧市町村単位で災害対策本部の「支部」を設置する取組が見られる。地域特性に応じた柔軟な対応が可能である一方で、避難勧告等の発令等に地域間でバラツキが生じないよう、発令基準の明確化等が重要である。
- ・新潟県小千谷市や兵庫県神戸市などでは、要援護者の安否情報の集約や「見守り推進員」の配置など、地域包括支援センターの仕組を活用した事例が見られた。ただ、同センターで避難支援対策の全てを解決させるのではなく、地域の社会資源が協力して対応していくための仕掛けづくりが重要である。
- ・福祉分野においては、全般的に公的部門による直営から民間部門の活用へ移行しつつある。(福祉と防災との連携に関して)民間との協力関係をどのようにしていくのかが課題であると感じた。
- ・山梨県へのヒアリングを通じて、市町村における要援護者対策の推進にあたっては、市町村向けマニュアルの整備や研修会の開催、市町村の地域防災計画の修正等を通じた指導など、都道府県の役割が非常に大きいことを実感した。
- ・要援護者情報の共有については、個人情報保護の問題もあり、多くの市町村は模様眺めの状態となっている。現地調査を通じて、共有のための具体的な手順や共有後の利用方法、セキュリティ対策等について、何らかの方向性を示す必要性を痛感した。
→ ガイドラインにおいて、市町村の個人情報保護条例の運用により、本人の同意がない場合であっても要援護者情報の共有は可能であるとの見解を明記しているが、十分に浸透していないようだ。内閣府としては更なる浸透に努めるとともに、本検討会を通じて具体的な手順や参考となる事例・情報等を積極的に提供していきたい(内閣府)。
第3回は平成19年2月中に開催し、報告書素案や時系列的な要援護者避難支援活動のフローチャート等について検討する予定。