平成28年(2016年)・熊本県 熊本地震からの復興
平成28年(2016)年4月に発生した熊本地震。2度の最大震度7を含め、震度6弱以上の揺れを3日間で7回観測するなど、繰り返す激しい揺れが被害を拡大させました。
阿蘇市でも激しい揺れにより家屋や山腹の崩壊、道路や橋梁の寸断が相次ぎました。地域の象徴でもあった阿蘇神社も壊滅的な被害を受け、中でも「日本三大楼門」の一つとして知られる楼門の倒壊は、市民に大きな衝撃を与えました。
被災した神社の復旧は、国・熊本県・阿蘇市の補助事業として進められました。楼門は全解体修理を行い、部材の約7割を再利用したうえで、耐震性が向上させるための構造補強を施し、令和5年(2023年)12月に修復を完了しました。
南阿蘇村でも強い揺れで家屋の倒壊や土砂災害が発生し、甚大な被害となりました。
住民や観光客の足である南阿蘇鉄道も橋梁やトンネルの損傷、土砂の流入など深刻な被害を受け、全線運休を余儀なくされました。3カ月後に一部区間(中松~高森間)で運転再開されたものの、残り区間は被害が大きく、全線復旧には莫大な費用を要することから、住民の間では廃線の不安も囁かれました。
しかし関係者による国や県への働きかけで、上下分離方式の導入による復旧が決定しました。そして橋梁の耐震性能を向上させるなど防災機能が強化された形で、令和5年(2023年)7月に全線での運行再開が実現しました。令和6年(2024年)度の輸送人数は地震前の水準に回復しており、今後の活躍が期待されます。

平成28年(2016年)4月20日に国土地理院が撮影した航空写真による阿蘇神社の様子(国土地理院の航空写真を加工)

本震発災後の平成28年(2016年)4月16日午前に国土地理院が撮影した写真。南阿蘇鉄道の線路に崩れた土砂が流入している(国土地理院)

修復された楼門(令和8年(2026年)2月撮影)

全線復旧した南阿蘇鉄道。雄大な景色の中を行く(令和8年(2026年)2月撮影)
| 阿蘇地域で是非訪れたいのが、特集記事でも紹介している南阿蘇村の「熊本地震震災ミュージアムKIOKU」です。熊本地震の記憶や経験を後世に伝え、自然とともに生きることを考える施設で、展示棟と震災遺構(旧東海大学阿蘇キャンパス1号館と地表地震断層)からなります。展示は震災の実情を伝える物や写真、映像を通して地震の「その時」を振り返り、熊本の大地の成り立ちや風土を学び、最後に地震の教訓を自分たちの身の回りに置き換えてどのように備えればいいのかを考える内容で、熊本地震を通じて防災の本質を学ぶことができます。 | |
![]() 熊本地震震災ミュージアムKIOKU(令和8年(2026年)2月撮影) |
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表紙写真
熊本地震による倒壊から構造補強を施して修復された「日本三大楼門」の一つである阿蘇神社楼門と、廃線の不安も囁かれた長い運休から復旧し、耐震強化された第一白川橋梁を渡る南阿蘇鉄道の車両(いずれも令和8年(2026年)2月撮影)


