平成26年(2014年)御嶽山噴火からの復興
平成26年(2014年)9月27日11時52分、長野・岐阜の県境にある御嶽山が噴火し、山頂付近にいた登山者が噴石の直撃等により被害を受け、死者58人、行方不明者5人という甚大な人的被害が発生しました。紅葉シーズン真っ盛りの週末であり、晴天の昼時であったため、噴火に居合わせた登山者が多かったことも影響しました。
この災害を踏まえ、長野県及び木曽町は、登山客や観光客に火山防災情報を伝え、御嶽山の性質と火山が育んだ地域の歴史・文化・自然への理解を促すため、それぞれ「やまテラス王滝」及び「さとテラス三岳」と名づけられた御嶽山ビジターセンターを整備しました。
「やまテラス王滝」は、王滝登山口(七合目)に位置し、御嶽山に登る前に火山活動や規制の状況を確認し、登山計画書を提出する場となります。一方の「さとテラス三岳」は、山麓の県道20号開田三岳福島線沿いの道の駅に併設され、地域交流や御嶽山火山マイスターの活動・人材育成の拠点となります。
このような施設等をとおして、御嶽山噴火の教訓を後世に伝える等の火山防災の取組が進められています。

噴火翌日の2014年9月28日に航空機から撮影された御嶽山(国土地理院)

現在の登山口から望む御嶽山(2024年5月撮影)
「やまテラス王滝」及び「さとテラス三岳」は、御嶽山ビジターセンターとして平成26年(2014年)の噴火災害に関する教訓はもちろん、活火山としての御嶽山の成り立ち、性質、信仰の山としての御嶽山の姿、火山の恵み、地域の生活との関係等を多彩な展示で学ぶことができる施設となっています。また、「やまテラス王滝」は、240cmの積雪、山頂付近に吹く強風、地震や噴石といった自然の猛威から身を守るシェルターとしての機能も備えています。 ※写真は2024年5月撮影 |
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![]() 「やまテラス王滝」入口の火山情報が確認できるデジタルサイネージ |
![]() 「やまテラス王滝」の火山岩による石積みが施された外壁 ![]() 「さとテラス三岳」の展示 |
参考 内閣府, 2019, 『災害対応事例集Ⅱ-5 2014年(平成26年) 御嶽山噴火による災害』.
阪本真由美, 2015, 「2014年御嶽山噴火をめぐるリスク・コミュニケーション」『自然災害科学』(34).
表紙写真
御嶽山の登山口に位置する「やまテラス王滝」と、山麓の道の駅に併設された「さとテラス三岳」。噴火災害の教訓を後世に伝え、御嶽山の性質や活火山と共生する地域の歴史や文化を学べるビジターセンターとして、災害の再発防止に貢献しています(2024年撮影)。
