防災リーダーと地域の輪 第52回



被災住民自ら立ち上げた自主防災組織が定着させたタイムラインと早期避難
三重県紀宝町津本地区自主防災会

防災リーダーと地域の輪

 紀伊半島の南部、和歌山県に接する三重県南牟婁みなみむろ郡紀宝町にある津本地区は、熊野川から支流である相野谷川を遡った山際に立地しています。この津本地区では、平成23年紀伊半島大水害(台風第12号)の際に相野谷川おのだにがわの氾濫により、地区を守る輪中堤が決壊し、地区118世帯のうち84世帯が浸水、1名の方が亡くなりました。

 この災害の教訓を踏まえ、住民たちは、自発的に津本地区自主防災会を立ち上げました。自主防災会のメンバーは、地区内に避難所がなかったことから、避難路調査を行った上で、平成25年に避難所として使うことができる津本防災センターを作りました。

 平成27年7月の台風11号で熊野川水系が氾濫した際には、あらかじめ地区で定められていたタイムライン(防災行動計画)に従って、津本防災センターへの早期避難が行われました。そして、避難行動を振り返るタイムラインワークショップで「乳幼児にお乳を飲ませる場所がない」という声が出されたことを受けて、津本防災センター内にカーテンで区切った授乳スペースを設けるなどの改善が行われました。

 自主防災会では、町有地の草刈りボランティアを行うことで活動資金を得ながら、避難所運営訓練や「防災チャレンジ運動会」など、さまざまな防災イベントを開催しています。

 防災チャレンジ運動会は令和元年秋から継続的に行われており、避難所へ持っていくグッズを集める借り物競争をするなど、運動会形式で防災について楽しく学べるユニークなイベントです。

 ほかにも町防災マップ(津波編)を手に地区内で海抜20m以上の避難できそうな場所を探して赤い旗を掲げるまち歩きを行ったり、紀伊半島大水害時の浸水深(7.71m)を測ってみたり、地区内の危険箇所や災害時要配慮者等の情報を地図に書き込んでいく「MYまっぷラン+」の作成など、世代を超えて参加できるイベントを実施しています。

 津本地区自主防災会の大峪やす子さんは、「防災活動は継続が重要ですが、実は続けていくことが一番難しいと感じます。飽きたり馴れ合いになったりしないように、さまざまな工夫をして楽しみながら参加してもらうことを心がけています」と話しており、防災意識は地区内で世代を越えて受け継がれています。

津本防災センター。発災時の避難所であり、平時は自主防災会の拠点

津本防災センター。発災時の避難所であり、平時は自主防災会の拠点

避難所運営の反省から防災センター内に設けられた授乳スペース

避難所運営の反省から防災センター内に設けられた授乳スペース

防災チャレンジ運動会の様子

防災チャレンジ運動会の様子



所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.