防災の動き



第6回緊急消防援助隊全国合同訓練
総務省消防庁国民保護・防災部防災課広域応援室

1 はじめに


 消防庁では、緊急消防援助隊の消火・救助技術や指揮・連携活動能力の向上を図ることを目的に、平成7年の創設以来おおむね5年に1回、全国の緊急消防援助隊が一堂に会して行う全国訓練を実施しています。

 このたび、南海トラフ地震を想定し、令和4年7月27日(水)に消防庁、静岡県、和歌山県、高知県及び宮崎県において図上訓練を、11月12日(土)、13日(日)に静岡県において実動訓練を実施しました。

2 訓練目的

 南海トラフ沿いの遠州灘を震源とするM8クラスの先発地震、四国沖を震源とするM8クラスの後発地震が連続して発生し、静岡県をはじめとした複数の県で最大震度7を観測。中部・近畿・四国・九州地方の太平洋沿岸部を中心に建物倒壊、津波浸水、市街地火災、石油コンビナート火災、土砂災害など複合的な災害が広範囲で発生したことを想定しました。

3 図上訓練

⑴ 訓練目的
 南海トラフ地震における緊急消防援助隊アクションプラン(以下「アクションプラン」という。)に基づく初動対応、早期の被害状況の把握、消防・自衛隊・警察・海上保安庁等の関係機関との活動方針の調整等を実践し、南海トラフ地震への対応能力の向上を図ることを目的に実施しました。

⑵ 重点推進事項
ア アクションプランの検証、消防庁及び応援・受援都道府県におけるオペレーション能力の向上を目的に、多くの応援・受援団体、複数の重点受援県及び消防庁が参加する大規模な訓練としました。
イ 災害時における航空機の活用が重要であることから、被災県の消防応援活動調整本部等と航空指揮支援隊及びヘリベース指揮者等が相互に連携するなど、航空部隊の運用に焦点を置いた訓練としました。
ウ 訓練開催地の地域特性や被害想定に対応した訓練とし、石油コンビナート災害、津波災害又は崖崩れ等により発生した孤立地域からの救出訓練なども計画に取り入れるものとしました。

⑶ 訓練概要
 消防庁では先発地震発生後、アクションプランの適用判断を行い、重点受援県を優先して被害状況の把握を行いました。その後、応援編成計画を選択し、受援都道府県の選定、消防応援活動調整本部との活動調整、緊急消防援助隊動態情報システム、支援情報共有ツール等を活用した情報共有等を行いました。緊急消防援助隊の消防庁長官による出動指示を行って被災地に緊急消防援助隊を配置し、後発地震発生後は被害を踏まえて部隊移動を行うなど、アクションプランの検証を行いました。

4 実動訓練

⑴ 訓練目的
 南海トラフ地震等の大規模災害に対応できるよう、全国規模の参集訓練、実践的な部隊運用訓練等を実施し、より迅速な参集体制の確立、緊急消防援助隊の技術の向上及び連携活動能力の強化を図ることを目的に実施しました。

⑵ 重点推進事項
ア 迅速な部隊進出
 全国各地の応援部隊が、陸路での進出のほか、自衛隊輸送機や民間フェリー等を用いて行う様々な進出に関し、その実効性を検証しました。
イ 都道府県や関係機関との連携
 通常の訓練では連携することが困難な離れた都道府県や、自衛隊、警察、海上保安庁、TEC-FORCE、DMAT等と連携し、実践的な訓練を実施しました。
ウ 新設部隊の検証
 近年の災害を踏まえて新設した、土砂・風水害機動支援部隊、NBC災害即応部隊、航空指揮支援隊等の実効性を検証しました。
エ 広報の強化
 緊急消防援助隊を広く知っていただくため、会場内にモニターを設置したり、全国訓練では初めてとなるYouTube配信を実施するなど、広報にも主眼を置いた訓練を実施しました。

⑶ 訓練概要
ア 部隊参集訓練
 アクションプランに基づき、広域進出拠点を活用した進出を実践するとともに、陸路で迅速な進出が困難になることを想定、自衛隊輸送機など陸路以外の多様な手段による部隊参集訓練を実施し、緊急消防援助隊の進出手段の強化を図ることを目的に実施しました。
イ 部隊運用訓練
 メイン会場、サブ会場及びサテライト会場の各会場において、複数箇所で同時に発生した災害に対し、ドローンや被災地消防本部の情報収集結果をもとに各災害箇所に都道府県大隊を配置し、被災地消防本部や関係機関と連携して情報共有や活動エリアの調整等、大規模災害時の連携や対応能力の強化を図ることを目的に訓練を実施しました。また、航空部隊は陸上部隊の救助活動と並行し、安全管理及びホイスト救助の強化を目的に訓練を実施しました。

消防庁

消防庁

静岡県庁

静岡県庁

中高層建築物倒壊救出訓練:メイン会場(富士山静岡空港西側県有地)

中高層建築物倒壊救出訓練:メイン会場(富士山静岡空港西側県有地)

消防防災ヘリコプターによるホイスト救助:サテライト会場(静岡県消防学校)

消防防災ヘリコプターによるホイスト救助:サテライト会場(静岡県消防学校)

5 おわりに

 消防庁では、今回の図上訓練及び実動訓練をとおして得られた教訓を踏まえ、被災地において緊急消防援助隊が迅速かつ的確に活動できるよう、さらなる能力の向上に努めてまいります。

 最後に、第6回緊急消防援助隊全国合同訓練の開催にあたり、多大な御協力を頂いた静岡県、和歌山県、高知県、宮崎県、各県内市町村及び消防本部、訓練参加消防本部並びに関係機関の皆様へ、心より感謝申し上げます。

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内閣府政策統括官(防災担当)

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