防災リーダーと地域の輪 第50回



手づくりの紙芝居や人形劇で子どもたちに「命の大切さ」や「人への思いやり」を伝える
心のあかりを灯す会

防災リーダーと地域の輪

 練馬区を中心に活動する「心のあかりを灯す会」では、小学校や保育園・幼稚園、児童館などに出向いて、手づくりの紙芝居や人形劇などを通じて子どもたちに防災教育を行っています。

 活動のきっかけは2002年に遡ります。練馬区防災課が区民との協働で開催した「災害に負けないで頑張ろう!灯そう希望のあかり」(1995年の阪神・淡路大震災を伝承する行事)の実行委員として、当時避難拠点運営連絡会(練馬区では区立小・中学校を災害時の「避難拠点」と定めている)に関わっていた鈴木裕子さんに声をかけたことでした。そこから20年、防災課を事務局に、大震災の体験者でもある鈴木さんを会長として、学校の防災訓練などを通じて、子どもたちに命の大切さや人への思いやりを伝え続けてきました。

 「地震が起きた時にどうすればいいのかを紙芝居や人形劇を見せた後、子どもたちに実際にやってもらいます。手作りの地球の模型を使って、『なぜ地震が起きるのか』もわかりやすく教えています。目で見て、耳で聞いて、興味をもってもらえるように工夫しています」(鈴木さん)。

 会には鈴木さんを含めて4人の阪神・淡路大震災の体験者がいます。当時の写真を見せながら体験談を話すと、子どもたちはわがことのように真剣に聞くそうです。

 「『なぜ防災訓練をするのか意味が分かりました』と言ってくれた子がいて、心に届いているのだなと思いました。みんな真剣なので怖くなったり心配になったりする子もいます。『きちんと備えをすれば大丈夫』と先生や保護者と一緒にフォローをすることも大事です」(鈴木さん)。

 2014年からは食の観点から災害を考える取り組みも行っています。電気、ガス、水などのライフラインが止まった時でもおいしく食べられるサバイバルレシピを載せた冊子「食と防災」も制作し、実際に作って食べるイベントも開催しています。

 「楽しくなければ続かない」と鈴木さんは話しますが、異動などで担当が変わるなかで、行政と区民の協働が20年以上続いているのは双方の熱意があればこそです。

 「災害時に行政ができることには限界があります。これからも活動を通じて自助や共助の重要性を伝えていきたいと考えています」(鈴木さん)。

煙に見立てたカーテンから逃げる訓練をする子どもたち

煙に見立てたカーテンから逃げる訓練をする子どもたち

手づくりの地球の模型を使って「なぜ地震が起こるのか」を学ぶ

手づくりの地球の模型を使って「なぜ地震が起こるのか」を学ぶ

イベント「灯そう!心のあかり」では被災体験の作文を子どもたちが朗読する

イベント「灯そう!心のあかり」では被災体験の作文を子どもたちが朗読する



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