防災の動き



積雪・降雪の状況把握や6時間先までの予測について
気象庁 大気海洋部 業務課 気象技術開発室

 気象庁は、集中的・記録的な降雪による大規模な車両渋滞・滞留など、大雪が社会活動に与える影響が問題となっている近年の状況を踏まえ、現在の積雪の深さと降雪量の分布を1時間ごとに約5㎞格子単位で推定する「解析積雪深・解析降雪量」の提供を令和元年11月に開始しました。また、雪による交通への影響等を前もって判断いただくための情報を拡充するため、令和3年11月より新たに、6時間先までの1時間ごとの積雪の深さと降雪量を予測する「降雪短時間予報」の提供を開始しました。

 これらの情報の概要や、利用上の留意点について紹介します。

1 解析積雪深・解析降雪量

 解析積雪深は、気象レーダーとアメダスなどの降水量観測値から作成した降水量分布(解析雨量)や数値予報モデルの気温などを積雪変質モデル1)に与えて、積雪層内の雪質や密度などを計算し、その結果得られた積雪の深さを積雪計の観測値で補正することで、積雪の深さの実況を1時間ごとに約5㎞格子単位で面的に推定したものです。解析積雪深が1時間に増加した量を1時間の解析降雪量とみなします。なお、減少した場合の解析降雪量は0とします(図1)。

図1 解析積雪深と解析降雪量の表示例(平成30年2月6日12時。日本時間)
図1 解析積雪深と解析降雪量の表示例(平成30年2月6日12時。日本時間)

2 降雪短時間予報

 降雪短時間予報は、6時間先までの1時間ごとの積雪の深さと降雪量を約5㎞格子単位で面的に予測するもので、1時間ごとに更新されます。積雪の初期状態に解析積雪深を用い、解析雨量や数値予報モデルの降水量を利用して予測した降水量分布(降水短時間予報)や、数値予報モデルの気温などの予測値を積雪変質モデルに与えて積雪の深さを計算した後、積雪の深さの増加量を統計的に補正しています。降雪量は、積雪の深さの1時間ごとの増加量とし、減少が予測される場合は0とします(図2)。

図2 降雪短時間予報の表示例(令和2年12月30日15時からの予測。日本時間)
図2 降雪短時間予報の表示例(令和2年12月30日15時からの予測。日本時間)

3 気象庁ホームページでの確認方法

 解析積雪深・解析降雪量は、気象庁ホームページ「現在の雪」(https://www.jma.go.jp/bosai/snow/)で公開してきましたが、令和3年11月に「今後の雪」(URLは「現在の雪」から変更なし)としてリニューアルし、降雪短時間予報を合わせてご覧いただくことができるようになりました。「今後の雪」では、積雪の深さおよび降雪量の実況から6時間先までの予測を、地図上でシームレスに確認いただくことができます。表示要素は積雪の深さ、3・6・12・24・48・72時間降雪量を用意しており、利用者のニーズに応じて選択いただけます。1時間ごとに更新されますので、最新の情報をご利用ください。


4 利用上の留意点

 解析積雪深・解析降雪量、降雪短時間予報は約5㎞四方の平均的な値であるため、積雪の深さや降雪量のおおまかな分布を把握するために利用してください。また、解析積雪深・解析降雪量は、個別地点における観測値と必ずしも一致しないことにも留意が必要です。なお、解析積雪深・解析降雪量、降雪短時間予報は、以下の気象条件の際に精度が低下する可能性がありますのでご注意ください。

・風が強い時(雪が風に流されるため)。
・地上の気温が約1~3℃の時(僅かな気温の違いで雪か雨かが変化するため)。
・地上の気温が十分に低くても、上空に暖気が入っている時(上空で雪が融解してしまう場合があるため)。


5 おわりに

 冬の外出前には交通情報と共に気象庁ホームページ「今後の雪」をご覧いただくことにより、目的地までの経路が大雪になっていないか、この先大雪の恐れがないかなどを確認いただけるほか、除雪判断など交通障害の備えにもご活用いただけます。

 近年の大雪による社会活動への影響を受け、気象庁では引き続き、解析積雪深・解析降雪量、降雪短時間予報の精度向上に努めていきます。

●気象庁ホームページ「今後の雪」

▶https://www.jma.go.jp/bosai/snow/ QRコード

【参考文献】

気象庁: 解析積雪深・解析降雪量,https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/expert/pdf/r1_text/r1_kaisekisekisetsu.pdf,予報技術に関する資料集のページ

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