防災の動き



洪水時における長時間先の水位予測情報の提供について
〈国土交通省 水管理・国土保全局 河川環境課 河川保全企画室 髙橋亮丞〉

 今年は、西日本において例年にないほど早く梅雨入りし、既に大雨による被害が報告されているところである。洪水による被害を軽減させるため、国土交通省では、河川の水位を予測し、気象庁と共同で洪水予報を発表している。この予報において、長時間先の水位情報を提供することは、従来よりも早期に河川の氾濫の恐れを察知でき、災害対応の効率化や住民避難の促進につながる。このため、国土交通省では、洪水予測の高度化を進めることで避難情報の充実を図っている。本稿ではその取り組みについて述べる。

 現在、国土交通省では国管理の洪水予報河川において河川事務所と気象台とが共同で、河川の現況水位や3時間先までの水位の見通しを洪水予報として発表している。この洪水予報は関係都道府県、市町村や報道機関などに伝達され、広く一般に周知されるとともに、市町村が発表する避難情報の発令の基準として活用されている。今般、水位予測技術の精度向上により、6時間先までの予測水位の提供が可能となった。すべての国管理の洪水予報河川において、今年度の6月から運用を開始する予定である。なお、予測水位が予測雨量の精度の影響を受けることや、長時間先の予測水位ほど予測精度が低くなることには注意が必要である。他方では、この予測の不確実性を補うために、気象庁提供の1日半先までのアンサンブル(21ケースの)降雨予測等を活用し、長時間先水位予測を行うことで、広域避難を支援することを目指した取り組みも進めている。

 国土交通省では、今後も、大河川において、更なる長時間化や予測精度向上に取り組んでいくとともに、これまで水位予測情報が提供されていなかった中小河川への水位予測情報の提供範囲の拡大を進め、河川の増水・氾濫の際に活用可能な防災情報の充実に努めていく。

図1 6時間先の水位予測情報提供のイメージ
図1 6時間先の水位予測情報提供のイメージ


図2 1日半先の水位予測のイメージ
図2 1日半先の水位予測のイメージ


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