阪神・淡路大震災からの復興 平成7年(1995年)兵庫県

平成7年(1995年)1月17日5時46分、淡路島北部を震源とするマグニチュード7.3の直下型地震が発生、兵庫県神戸市などでは震度7を観測しました。強い揺れに襲われた地域では建物が倒壊し、電気や水道などのライフラインが機能停止となり、兵庫県内では交通網が寸断されました。日本を代表する国際貿易港であった神戸港は、約116kmに及ぶ水際線のほとんどが被災しました。沿岸部埋立地、人工島のポートアイランドや六甲アイランドなどで地盤沈下、液状化、護岸の崩壊などが発生、コンテナターミナルは使用できない状態となりました。
阪神・淡路大震災による死者数は約6,400名、負傷者数は約4万3,000名、被害総額は約9兆9,000億円にのぼりました。このような大規模な被害に対して、国、自治体、企業、市民が協力して、復旧・復興に取組みました。神戸港では、震災前の状態に復旧するだけではなく、コンテナターミナル岸壁の大水深化・耐震化、高規格ガントリークレーンの設置などが進められました。平成22年には「国際コンテナ戦略港湾」に選定され、国際競争力の強化が図られました。こうした取組みなどにより、震災直後に一時半減した神戸港のコンテナ貨物取扱量は平成29年、平成30年と連続して、震災前の取扱量を上回る過去最高を更新しました。
この他、沿岸部埋立地や人工島には先端医療技術の研究施設、大学、ホテル、公園などが作られ、平成18年には神戸空港が開港し、学術、ビジネス、観光の拠点として発展しています。

倒壊した神戸港のガントリークレーン
(写真:神戸市)

復興を遂げ、多くの観光客が訪れる神戸港
(写真:©一般財団法人神戸観光局)
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平成14年、神戸市中央区に設立された「人と防災未来センター」は、阪神・淡路大震災の経験を語り継ぎ、その教訓を未来に活かすことにより、国内外の防災・減災を目指しています。センターでは、地震破壊のすさまじさを大型の映像と音響で体感できるシアター、震災直後の町並みをリアルに再現したジオラマなどを見学することができます。 (写真:人と防災未来センター) |
表紙の写真
神戸港のコンテナターミナルでは、現在、コンテナを船から積み下ろしするガントリークレーンが約30基稼働しています。その特徴的な姿は「海のキリン」と呼ばれ、港を象徴する存在です。

(写真:アフロ)
Build Back Betterとは
「Build Back Better(より良い復興)」 とは、2015年3月に宮城県仙台市で開催された「第3回国連防災世界会議」の成果文書である「仙台防災枠組」の中に示された、災害復興段階における抜本的な災害予防策を実施するための考え方です。
本シリーズでは、災害が発生した国内外の事例を紹介し、過去の災害を機により良い街づくり、国土づくりを行った姿を紹介いたします。