不屈の大地 Build Back Betterの軌跡



磐梯山噴火からの復興 明治21年(1888年)福島県

明治21年(1888年)に福島県の磐梯山で発生した噴火によって、山麓は甚大な被害を受けましたが、その後、火山が生んだ美しい景観が魅力の観光地として発展しています。
地図

福島県のほぼ中央部、猪苗代湖の北にそびえる磐梯山は、約70万年前から大小の噴火を繰り返してきましたが、明治21年(1888年)の水蒸気爆発では、大規模な山体崩壊が発生しました。北山麓の5つの村が、「岩なだれ」に襲われ、477名もの命が奪われました。この岩なだれで川がせき止められ、桧原湖、五色沼など300の湖沼が作られました。

岩なだれで荒廃した北麓地帯(裏磐梯)では、会津若松市で醸造業を営んでいた遠藤十次郎(別名:現夢)が私財を投じて植林事業を進めました。遠藤は林学博士の中村弥六の指導を受け、明治43年から10年以上をかけてアカマツを中心に約10万本を植林しました。また、磐梯山の東側を流れる長瀬川は、噴火で大量の土砂が流れ込み川底が上がったため、大雨の度に洪水を繰り返すようになりました。しかし、大正5年(1916年)から、洪水対策と水力発電所を建設するための堰堤工事が行われ、大きな洪水は発生しなくなりました。やがて、磐梯山周辺は噴火災害から復興を遂げ、大自然が創り出した風光明媚な観光地へと発展していきました。

昭和25年(1950年)に磐梯山周辺は、「磐梯朝日国立公園」に指定、平成23年(2011年)には、火山が創り出した貴重な地形や地質、火山とともに育まれた歴史や文化を学べる「磐梯山ジオパーク」として選定されました。磐梯山の麓にある小中学校では、「ジオパーク学習」が実施され、噴火の歴史や防災を受け継ぐ取組みが行われています。

明治21年の噴火で生まれた桧原湖と磐梯山(写真:磐梯山噴火記念館)

明治21年の噴火で生まれた桧原湖と磐梯山
(写真:磐梯山噴火記念館)

小磐梯が崩れて流れ下った風景から、火山の仕組みを学ぶ地元の中学生(写真:磐梯山噴火記念館)

小磐梯が崩れて流れ下った風景から、火山の仕組みを学ぶ地元の中学生
(写真:磐梯山噴火記念館)


三陸鉄道

表紙の写真

猪苗代湖から望む磐梯山。猪苗代湖は、約5万年前の磐梯山の噴火で発生した山体崩壊で川がせき止められ生まれたと考えられています。

表紙絵

(写真:k_river)

Build Back Betterとは

「Build Back Better(より良い復興)」 とは、2015年3月に宮城県仙台市で開催された「第3回国連防災世界会議」の成果文書である「仙台防災枠組」の中に示された、災害復興段階における抜本的な災害予防策を実施するための考え方です。

本シリーズでは、災害が発生した国内外の事例を紹介し、過去の災害を機により良い街づくり、国土づくりを行った姿を紹介いたします。

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