不屈の大地 Build Back Betterの軌跡



北海道南西沖地震からの復興 平成5年(1993年)北海道

平成5年(1993年)7月12日に発生した北海道南西沖地震によって、奥尻島(北海道奥尻町)は津波、がけ崩れ、火災による大きな被害を受けました。
地図

北海道の南西端に位置する奥尻島は、対岸の江差町からフェリーで2時間程の距離にある、自然豊かな島です。南北に細長い島の約7割は山林に覆われ、多くの町民は海岸線沿いに暮らしています。

平成5年(1993年)7月12日、午後10時17分、マグニチュード7.8の北海道南西沖地震が発生し、震源に近い奥尻島は地震から約2分後には津波の第1波が押し寄せました。津波、がけ崩れ、火災によって沿岸の多くの集落は壊滅状態となり、奥尻島の死者・行方不明者は198名に達しました。

地震後、奥尻町は「生活再建」、「防災まちづくり」、「地域振興」を3つの柱とした復興計画を策定し、復興事業を開始しました。復興には、国や道からの支援に加え、全国から集まった義援金が活用されました。甚大な被害を受けた地域では、新たなまちづくりが行われました。また、津波対策として、揺れを検知するとゲートが自動降下する水門を3つの川の河口に建設した他、地震と津波で被害を受けた青苗小学校は、1階部をピロティ(空間部)構造とした3階建の校舎に建て替えられました。

平成10年に「完全復興宣言」を行った奥尻町は、復興への支援の感謝と、地震の教訓を後世に伝えるために、平成17年から官民が協力し、防災教育プログラムを実施しています。避難訓練、防災施設の見学、語り部による講演などのプログラムに、これまで島内外の中高生を中心に1000名以上が参加しています。

津波の被害を受けた奥尻町(写真提供:奥尻町)

津波の被害を受けた奥尻町
(写真提供:奥尻町)

防災教育プログラムとして行われる避難訓練で、車椅子の高齢者の移動を助ける高校生(写真提供:奥尻町)

防災教育プログラムとして行われる避難訓練で、車椅子の高齢者の移動を助ける高校生
(写真提供:奥尻町)


キャプション

表紙の写真

平成12年に青苗漁港に完成した「望海橋」は、緊急時、岸壁で作業している人が迅速に望海橋の上へ避難できるよう5つの階段が設けられ高台へと続く避難路とつながっています。

表紙絵

(写真:田中正秋/アフロ)

Build Back Betterとは

「Build Back Better(より良い復興)」 とは、2015年3月に宮城県仙台市で開催された「第3回国連防災世界会議」の成果文書である「仙台防災枠組」の中に示された、災害復興段階における抜本的な災害予防策を実施するための考え方です。

本シリーズでは、災害が発生した国内外の事例を紹介し、過去の災害を機により良い街づくり、国土づくりを行った姿を紹介いたします。

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