防災の動き

情報の地図化で迅速な災害対応

ISUTによる作成地図の説明

災害時には、地方公共団体、ライフライン等の民間事業者、自衛隊等の実働機関、医療機関、応援自治体、各省庁といった様々な機関が活動します。これら機関が迅速かつ効率的な災害対応を行うには、「どこで何がどの程度の規模で生じているのか」「復旧すべき施設はどこで、何をする必要があるのか」「各機関がどこでどのような活動をしているのか」といった、生じている事象を各機関が体系的に把握することが必要です。この体系的な状況把握のためには、1つの地図上にそれぞれの状況を重ねることが有効であり、デジタル地図を活用するとともに、平常時から国や地方公共団体、民間企業・団体等が必要な情報をデータとして円滑に共有できる仕組みが必要になります。加えて発災時には、被害状況や避難所の情報等、時々刻々と変化する情報(動的な情報)が存在し、事前にデータで共有する体制が整えられないものも存在します。災害対応者の適確な意思決定には、これら情報も地図上に重ね合わせることが大変重要です。

そこで、情報の収集・整理・地図化を災害現場でSIP4Dというシステムを活用して行い、各機関の状況把握を支援することを目的に、内閣府・防災科研・日立製作所でチームを結成し、試行的に活動することが「国と地方・民間の『災害情報ハブ』推進チーム」において決定されました。このチームをInformation Support Team(災害時情報集約支援チーム)の略称で「ISUT(アイサット)」と呼んでいます。

ISUTによる作成地図の説明

ISUTによる作成地図の説明

ISUTはこれまで、6月18日の大阪府北部を震源とする地震、平成30年7月豪雨、平成30年北海道胆振東部地震と、3度にわたり実災害対応にあたってきました。特に、平成30年7月豪雨においては、特別警報が発表された翌日の7月7日から8月9日にかけて広島県庁で活動し、情報の収集・整理を支援するとともに、作成した地図を用いた県幹部や実働機関、他県からの応援職員への状況説明など、災害対応で活用され、ISUTの有効性について一定の評価を得ることができました。

平成30年7月豪雨で実際に作成した地図の例を紹介します。避難所支援用地図は、被災状況の全般的な把握において特に重要な、開設避難所、道路規制箇所、給水支援といった情報を重ねて作成したものです。避難所と道路情報を1枚の地図上に表示することで、物資拠点から避難所までのルート選定等に活用できるため、物資支援を担当していた広島県危機管理課において利用されました。また、土地勘のない応援職員向けの避難所巡回ルートの選定にも役立ちました。

避難所支援用地図

避難所支援用地図

一方で、試行を通じていくつか課題も浮かび上がってきています。例えば、平成30年7月豪雨で地図化した道路規制箇所は、広島県の運用するシステムから自動でデータを取得する体制を構築できたため、情報を円滑に地図化することができました。しかし、開設避難所については、県システムや担当職員等から入手した情報を手動でシステムに入力していたため、時間と人手を要しました。今後はデータの入手・入力作業を極力自動化する仕組みを実現し、迅速な地図の作成・提供を実現する必要があります。

ISUTは来年度から正式運用することを計画しております。今年度の試行を踏まえて抽出した課題の整理・解消に努め、ISUTのより効果的な運用を目指していきます。





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