防災の動き

防災とボランティアのつどい

平成30年1月27日(土)都内で、内閣府(防災担当)主催による「防災とボランティアのつどい」が開催されました。

このイベントは毎年開催されており、今年は個人、団体、企業等の防災に関わる多様な主体が参加し、被災者支援における防災ボランティア活動の現況や課題を知り、よりよい課題解決のためにどのような連携のあり方がよいかを考え、共有する目的で開催されました。

冒頭、主催者として挨拶に立った米澤健内閣府大臣官房審議官(防災担当)より、行政や、NPO、ボランティア、企業など様々な分野の方が集まり、顔の見える関係づくりを進めることが必要であると、本イベントの意義について申し上げました。

基調講演を行った兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科長の室﨑益輝教授
基調講演を行った兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科長の室﨑益輝教授

続いて、兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科長の室﨑益輝教授より、「災害ボランティア活動の更なる前進のために」と題して、基調講演をいただきました。この中で、室﨑教授は、阪神・淡路大震災以降、新潟県中越地震などのいくつかの災害経験を経て、ボランティア活動のシステムが次第にできてきたこと、東日本大震災を契機として、災害ボランティアの活動は新たな進化の過程にあることを説明されました。一方で、支援の現場では被災者のニーズに応えきれていないなど様々な課題があることを指摘されました。こうした中、ボランティアには、お互いを尊重する力(コラボレーション)、情報を共有する力(コミュニケーション)、一緒に運営をする力(コーオペレーション)、場を調整する力(コーディネーション)を備えたリーダーシップが求められるとともに、コミュニティ、行政、企業、ボランティア間で良好な関係を構築するパートナーシップが大切であるということをお話しいただきました。また、これからの課題として、

  • ①初心を忘れずに、フレキシブルに活動を行うこと
  • ②ボランティア力の進化を図ること
  • ③ボランティア活動をよりスムーズに行うための基盤づくりと環境の改善を図ること
  • ④ボランティア同士の連携と調整を図るプラットフォームとネットワークの充実を図ること
の4点を指摘されました。

室﨑教授の基調講演を受けて、ワークショップでは「災害時に、他機関・団体と連携するために必要なものは何か?」というテーマで、跡見学園女子大学鍵屋一教授のファシリテーションにより、ワールドカフェ形式による活発な議論が行われました。グループメンバーが入れ替わると、自己紹介を通じて、立場が異なる様々な参加者との交流が生まれました。グループごとに、ボランティアが多様な主体と連携を進めるための具体的なアイデアを3~5点選定し、A3用紙に書き出した後、参加者は色々なグループのアイデアを見て回り、「レベルが高い!」「ユニーク!」と思ったアイデアに「いいね!」マークを付けることで、それまで気づかなかった様々なアイデアを共有しました。

ワークショップ
ワークショップ

パネルディスカッションでは、コーディネーターを鍵屋教授がつとめ、パネリストとしてミュージシャン(ラッパー)のGAKU-MC氏、ふくおかNPOセンター代表の古賀桃子氏、立命館大学教授の桜井政成氏、災害NGO結代表の前原土武氏、後藤隆昭内閣府防災担当企画官が登壇しました。各登壇者から被災者支援における本質的で熱い想いが共有されました。「繋がりは備え」とは言っても、現実は大変難しい局面があることなども語られました。そのうえで、継続してきたからこそ家族のような関係性が生まれること、情報源の確認や支援における時間軸の設定を大事にすること、強い繋がりを持つのではなく必要であれば繋がるようなあっさりとした新しい繋がり方も重要であること、情報を取りに行きつつ伝えるというニュートラルな意識を持つこと、なるべく自分の活動に関係ない集まりにも参加すること、防災を楽しんでやること、といった“顔が見える関係づくり”におけるエッセンスが多く語られました。また、今年度、内閣府は行政職員向けのガイドブックを作成しており、行政とNPO・ボランティア等との連携が広がることを期待しているということが伝えられました。最後に、コーディネーターの鍵屋教授から、改めて、行政が多様な主体間の連携において重要な役割を果たすことの必要性を説いていただき、パネルディスカッションを終えました。

パネルディスカッション
パネルディスカッション

その後行われた交流会にも多くの方々が参加され、イグナイト・ステージでは7団体から普段の活動内容などについてのスピーチがありました。普段あまり接することがない方々が交流し、お互いに意見交換をし合う場となりました。

本イベントへは、NPO・NGOから26団体、企業から25社、その他法人・団体から10の組織、そして防災の研究者・個人ボランティア等個人22名の参加がありました。参加者は合計133名でした。被災者支援に関わる多様な主体の連携について考え、多くの方々が交流する良い機会となりました。

交流会におけるGAKU-MC氏の演説
交流会におけるGAKU-MC氏の演説
〈内閣府(防災担当)普及啓発・連携担当〉

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内閣府政策統括官(防災担当)

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