Disaster Management News―防災の動き

平成27年度総合防災訓練

9月1日の『防災の日』を中心に、政府や地方公共団体などでは多くの防災訓練が実施されました。政府では『防災の日』に首都直下地震を想定した政府本部運営訓練を官邸で実施するとともに、安倍内閣総理大臣が東京都で行われた九都県市合同防災訓練の視察などを行いました。

『政府本部運営訓練』は、首都直下地震を想定し、安倍晋三内閣総理大臣を本部長として全閣僚が参加し、緊急災害対策本部会議とそれに引き続いての臨時の閣議の訓練を官邸で実施しました。
当日は訓練に先んじて、7時10分頃に東京都多摩東部を震源とするマグニチュード7.3、最大震度6強の首都直下地震が発生し、総理官邸周辺の道路の破損や渋滞などにより車両での参集ができない事態を想定して、各閣僚が自宅や自省庁等から徒歩で官邸に参集しました。
緊急災害対策本部運営訓練は、災害緊急事態の布告及びこれに伴う緊急災害対策本部の設置が閣議決定されたものとして、8時25分から実施しました。

政府本部運営訓練に参加する安倍内閣総理大臣と山谷防災担当大臣

会見を通して国民に協力の呼びかけを行う安倍内閣総理大臣

会議では、冒頭、安倍内閣総理大臣から各閣僚に対して人命救助を最優先に迅速、的確に対応するよう指示があった後、東京都庁とのテレビ会議を実施しました。

テレビ会議では、舛添要一東京都知事から被害状況の報告と政府への要請、政府調査団の団長として東京都庁に派遣された赤澤亮正内閣府副大臣から東京都に現地対策本部を設置すべきとの意見具申があり、それに対し安倍内閣総理大臣は、東京都の要請を受けて、全国から最大限の資源を注力することや、東京都現地対策本部の設置について早急に結論を出すことを伝えました。

その後、各閣僚から被害状況の報告や対応方針などの報告がなされ、これらを受けて、山谷えり子内閣府特命担当大臣(防災)から、東京都に緊急災害現地対策本部を設置するよう閣議に諮るととともに、神奈川、埼玉、千葉の各県に政府調査団を派遣することを提案し、各閣僚から異議なしとの発言をいただきました。また、安倍内閣総理大臣から各閣僚に対して、関係地方公共団体からの要請を待つことなく積極的に対応するとともに、要請に対しては情報の共有など各省庁連携して、迅速かつ全面的に支援するよう指示を出しました。

さらに引き続いて行った臨時の閣議では、災害緊急事態の対処に関する基本的な方針及び東京都への緊急災害現地対策本部の設置について閣議決定をしました。

その後、安倍内閣総理大臣は、山谷防災担当大臣立ち合いの下、会見を行い、NHK の生中継を通じて、身の安全の確保、車による移動を極力控えること、正確な情報の把握、買占めの自粛などについて国民に協力を呼びかけました。

『九都県市合同防災訓練』は関東圏の9つの地方公共団体が、合同で防災訓練を行うもので、今年度は東京都が主会場となって行なわれました。政府では、この訓練と連携して、安倍内閣総理大臣の視察と災害時に派遣される政府調査団の訓練を行いました。

まず、安倍内閣総理大臣は、多摩都市モノレール線高松駅付近で実施された、高架上で急停止したモノレールからの救出救助訓練を視察しました。この訓練は、東京消防庁、警視庁、多摩都市モノレール(株)が共同で実施した訓練で、梯子車等による車内の負傷者の救出救助などが行われました。

その後、安倍内閣総理大臣及び政府調査団は、メイン会場である国営昭和記念公園へ向かい、住民共助による訓練に参加しました。ここでは、立川市や昭島市の市民や周辺の小・中学生が参加した初期消火訓練やロープの結索訓練、応急担架作成などの訓練が実施されており、小学生低学年向けの防災クイズや煙体験なども行われていました。

安倍内閣総理大臣はこのエリアで、立川消防少年団、立川消防団員とともにスタンドパイプによる初期消火訓練を体験しました。スタンドパイプとは道路上にある消火栓等から直接放水することができる器具で、東京都では平成24年頃から本格的に導入が進められ、地域住民を対象とした講習や訓練が実施されています。今年の4月にはこの器具で地域住民が初期消火を行うなどの実績もあり、今後の地域での活用が期待されています。

立川消防少年団員とともにスタンドパイプ訓練に参加する安倍内閣総理大臣

この後、安倍内閣総理大臣をはじめ、山谷防災担当大臣、高市早苗総務大臣、中谷元防衛大臣、赤澤内閣府副大臣は、立川消防少年団の小・中学生とともに、災害時に役立つロープの結び方を訓練する結索訓練に参加し、見事なロープワークを披露しました。
最後に、安倍内閣総理大臣は来賓スタンドで、警視庁、東京消防庁、自衛隊や国交省関東地方整備局、及び周辺県から派遣された緊急消防援助隊(消防)、広域緊急援助隊(警察)などが参加した救出救助訓練及び道路啓開訓練を観覧しました。この訓練にはアームが二本あり、繊細な作業が可能な双腕重機も投入されていました。これは、全国の消防関係には2台しかない機械で、今後の導入により、がれき除去等での威力が期待されます。

結索訓練に参加する安倍内閣総理大臣

双腕重機による、がれき除去の訓練

この会場では東京都が9月1日より都民への配布を開始した、“今すぐできる災害への備え”や“知っておきたい災害知識”などを解りやすく、網羅的にまとめた「防災ブック」の普及コーナーがあり、このコーナーで舛添東京都知事より安倍内閣総理大臣へ「防災ブック」の贈呈が行われました。
当日は、生憎の小雨模様でしたが、一部を除き訓練は予定通り実施されました。訓練会場には多くの市民が訪れ、実動機関にとっては日頃の鍛錬の成果を披露する場になったとともに、訓練に参加した一般の方々にとっても、自助・共助の大切さを意識する良い場となりました。

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