特集2 平成26年夏の災害状況について

日本では近年、雪害によって毎年およそ100名の命が失われています。その多くが除雪作業中の事故によるものです。また平成26年2月には記録的な大雪により、道路、鉄道等の交通が麻痺し、多数の孤立集落が発生しています。在宅時等の備えを十分にするとともに、除雪中の事故の危険を理解し、安全な対策を講じて事故を防ぎましょう。

屋根の雪下ろし作業には危険が伴う

大雪に備える

防災情報の活用と在宅時の過ごし方

大雪、暴風雪等が予想される場合には、気象情報、注意報及び警報を活用して、各自が必要性を判断した上で、早めに必要な行動を取りましょう。
在宅時は、懐中電灯、携帯ラジオ、食糧、飲料水等を用意するとともに、ガスや石油等を利用した暖房器具を使用している場合には適切な換気が必要です。
また、これまで雪が少なかった地域においても記録的な降雪となることがあり、おもに山間部等においては地域が孤立することがあります。地理的状況等から少しでも孤立のおそれのある地域や住宅においては、特に食糧、水、燃料等を十分に備蓄してください。

車両の運転について

大雪、暴風雪等が予想される場合は、できる限り車両の運転は避けるのが無難です。やむを得ず運転する場合、事前の気象情報、道路情報等の確認、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンの装着、点検整備の確実な実施と道路状況に応じた無理のない運転を心がけるとともに、立ち往生した場合に備え、防寒着、長靴、手袋、カイロ、スコップ、牽引ロープ、飲料水、非常食等も車両内に準備・携行することを心がけましょう。
もし、走行不能となりその場に留まらざるを得ない状況に陥った場合、マフラーの除雪や適切な換気を行い、一酸化炭素中毒を防止するとともに、やむを得ず車両を離れる場合には、ドアはロックせず、鍵を車内のわかりやすい場所に残してください。
平成26年11月に改正された災害対策基本法により、大雪等の災害発生時に、立ち往生車両や放置車両によって道路が閉塞してしまった場合には、直ちに道路啓開を行うべく、道路管理者が車両の所有者等に移動を命じることや、道路管理者自らが最低限の破損を含む車両の移動を行うことが可能となりました。道路管理者から車両の移動命令があった場合は速やかに移動する、やむを得ず車両を離れる場合には連絡先を車外からも認識できる場所に掲示するなど、道路管理者による車両の移動等の措置にご協力をお願いいたします。

除雪中の事故防止

日本では国土の約半分が、「豪雪地帯」(豪雪地帯対策特別措置法)に指定されており、そこで約2000万人もの人々が生活しています。そのため、雪による災害「雪害」も多く発生しています。
雪害には、雪崩、除雪中の事故などがあります。
この中でも、日常生活で避けられない屋根や道路等の除雪に伴う事故が多くなっています。平成25(2013)年11月から平成26(2014)年3月までの雪による死者95名の中で、屋根の雪下ろし等、除雪作業中の死者は66名(70%)にのぼります。しかも、そのうち52名(79%)が65歳以上の高齢者です(内閣府「今冬期の大雪等による被害状況等について」による)。
除雪中の事故としては、雪下ろし中に屋根等、高所からの転落(埋まる・直撃)、融雪槽への転落、除雪機に巻き込まれる事故、除雪作業中に心筋梗塞などで倒れる事故などがあります。

雪害の死亡状況別の死者数(平成25年11月~平成26年3月)
出典 「今冬期の大雪等による被害状況等について」(内閣府:平成26年5月30日現在)

慣れ、過信、油断が事故原因

平成24年3月に「大雪に対する防災力の向上方策検討会」(内閣府・国土交通省)が発表した報告書によると、除雪中の事故としては、屋根からの転落事故が約40%と最も多く、そのうち、「屋根の上で足を滑らせて転落」が約37%、「はしごからの転落」が約31%を占めています。これらの事故は、命綱やヘルメットを身に付ける、はしごを固定するといった対策で事故の危険性を大幅に減らすことが可能です。自らの命は自分で守るという意識を持ち、除雪前に事故防止のポイントを確認し、安全対策を講じましょう。

共助による除雪

豪雪地帯では、過疎化や高齢化の進行などにより、地域の雪かきの担い手が不足しています。高齢者が一人で雪下ろし等の除雪作業を行い、事故につながる場合も少なくありません。こうしたことから、各地域では共助を活用した雪処理の取り組みが行われています。国土交通省が平成26年4月に公表した「新たな地域除排雪の取組事例」(https://www.mlit.go.jp/common/001087922.pdf 別ウインドウで開きます別ウインドウで開きます) の中から、2つ紹介します。

山形県尾花沢市の事例

尾花沢市社会福祉協議会が尾花沢市等と連携し、要援護者世帯等の家屋周辺の除雪作業を行う「尾花沢市除雪ボランティアセンター」を平成24年度に立ち上げ、広くボランティアを募集。地域住民と中学生や大学生との交流や、地域活性化イベントの要素を持たせた除雪活動にも取り組む。

北海道北見市の事例

NPO法人「とむての森」が、北見市、地元の2つの大学等と協力し、平成24年度に「除雪ボランティアセンター」を設立、地元大学生がボランティアで高齢者宅の除雪を行う仕組みを構築。大学生ボランティアに対するインセンティブは、地域通貨による支払い、感謝状の授与など。

各地域でボランティアは除雪作業の新たな担い手となっていますが、除雪作業には危険が伴います。受け入れ側は、ボランティアに対する十分な安全対策を講じた上で、作業を行ってください。

命を守る除雪中の事故防止10箇条
1.作業は家族、となり近所にも声をかけて2人以上で!
2.建物のまわりに雪を残して雪下ろし!
3.晴れの日ほど要注意、屋根の雪がゆるんでる!
4.はしごの固定を忘れずに!
5.エンジンを切ってから!除雪機の雪詰まりの取り除き
6.低い屋根でも油断は禁物!
7.作業開始直後と疲れたころは特に慎重に!
8.面倒でも命綱とヘルメットを!
9.命綱、除雪機など用具はこまめに手入れ・点検を!
10.作業のときには携帯電話を持っていく!

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