特集 今年夏の災害報告

特集 今年夏の災害報告

今年の夏は全国各地で大雨や竜巻等の災害により、大きな被害が発生しました。
被害の状況、政府の対応・支援策を報告します。

被害を受けたJR山口線の線路(山口市阿東徳佐下地区)

1.梅雨期における大雨等(6月8日から8月9日)

今年は、沖縄と奄美地方が5月10日頃に梅雨入りし、その後、6月18日頃までには東北地方北部までが梅雨入りしました。東北地方では、7月から8月上旬にかけてたびたび大雨となり、7月の地域平均降水量平年比は気象庁が統計を開始した1946年以降で最も多くなりました。
こうした中、6月8日から8月9日にかけて梅雨前線が九州から本州付近に停滞し断続的に活動が活発となるとともに、高気圧の縁を回る暖かく非常に湿った空気の流入が継続したことから、各地で大雨となりました。特に、7月28日には、島根県及び山口県で、8月9日には秋田県及び岩手県で、それぞれこれまでに経験したことのないような大雨となりました。

被害状況
この期間の大雨等により、死者14名、行方不明者3名、重傷者15名、軽傷者35名の人的被害、全壊73棟、半壊182棟、一部破損475棟、床上浸水1923棟、床下浸水6374棟の住家被害が発生しました。また、道路やJR山口線などの公共土木施設、農地・農業用施設、文教施設の被害などが生じました。(9月6日現在)

政府の対応
政府では、6月21日、安倍内閣総理大臣から関係省庁に対し、1今後の大雨にも十分留意し、引き続き緊張感を持って、警戒・監視を行うこと。2被害が拡大した場合に備え、災害応急対策が万全に行えるよう態勢を整えること。との指示があったことから、関係省庁災害対策会議を開催し、今後の気象状況の見込み、被害状況及び各省庁の対応状況の情報共有を行うとともに、総理指示を踏まえ、緊張感を持って警戒・監視を行うことを確認しました。その後も関係省庁災害対策会議等を合計11回開催し、政府調査団の調査結果の共有や被害状況及び対応・支援状況などについて情報共有を行いました。
8月9日には、安倍内閣総理大臣から関係省庁に対し、人命を第一として、以下の三点を行うこと。1被害状況の迅速な確認、2迅速な避難措置の徹底など、住民の安全の確保、3ライフラインの確保との指示がありました。

内閣総理大臣の現地調査及び政府調査団の派遣
7月30日に西村内閣府副大臣(防災担当)を団長とする政府調査団を島根県及び山口県へ派遣し、被災自治体の首長等と意見交換を行うとともに、被災現場の調査を実施しました。8月3日には亀岡内閣府大臣政務官(防災担当)を団長に山形県及び福島県へ、長島農林水産大臣政務官を団長に新潟県へ、松下国土交通大臣政務官を団長に岩手県及び宮城県へ政府調査団を派遣しました。
8月4日には安倍内閣総理大臣が島根県及び山口県の被災地を調査しました。
さらに、8月9日には古屋内閣府特命担当大臣(防災)を団長に島根県及び山口県へ、8月13日には西村内閣府副大臣(防災担当)と亀岡内閣府大臣政務官(防災担当)を団長に岩手県及び秋田県へ政府調査団を派遣し、政府調査団を合計7回派遣しました。

被害状況の説明を受ける安倍総理及び西村副大臣(津和野町鷲原地区)

支援策

具体的な支援としては、岩手県、秋田県、山形県、石川県、島根県及び山口県からの災害派遣要請に基づき、のべ1800名余りの自衛隊員が行方不明者の捜索や給水支援、物資輸送などを実施しました。また、鳥取県警察、岡山県警察及び広島県警察の広域緊急援助隊が萩市における行方不明者の捜索活動などを実施したほか、応援協定に基づく消防防災ヘリコプターによる孤立者の救助や行方不明者の捜索などを実施しました。その他にも、国土交通省のテックフォースをのべ2000名余り派遣し、被害状況調査や応急復旧への支援を実施しました。
財政的な支援としては、8月15日に「平成25年6月8日から8月9日までの間の豪雨及び暴風雨による災害」を激甚災害に指定し、全国を対象として、農地等の災害復旧事業等に係る補助の特別措置、農林水産業共同利用施設災害復旧事業費の補助の特例及び小災害債に係る元利償還金の基準財政需要額への算入等を適用するとともに、山形県西川町、島根県津和野町並びに山口県山口市(旧阿東町)及び萩市の区域を対象として、公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助及び小災害債に係る元利償還金の基準財政需要額への算入等を適用しました。
9月3日には、岩手県雫石町及び紫波町を対象として、公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助及び小災害債に係る元利償還金の基準財政需要額への算入等の特例措置を追加で適用しました。
また、災害救助法が、7月22日に山形県長井市、南陽市、大江町及び白鷹町へ、7月28日に島根県津和野町、山口県萩市、山口市及び阿武町へ、8月9日に岩手県雫石町、秋田県大館市、鹿角市及び仙北市に適用されたほか、被災者生活再建支援法が、7月28日に島根県津和野町、山口県萩市及び山口市(旧阿東町)に適用されました。

被害を受けた堤防及び住家(山口県萩市須佐地区)

崩落した道路(島根県津和野町高峯地区)

土砂崩れによる住家被害の状況(長岡市寺泊山田地区)

土石流による被害の様子(仙北市田沢湖地区)

被害を受けた建物及び車両(岩手県盛岡市繋温泉)

2.8月23日からの大雨等(8月23日から28日)

8月23日から26日にかけて、西日本から東日本にのびる前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、大気の状態が非常に不安定となりました。このため、東日本の日本海側と西日本を中心に大雨となり、特に8月24日には島根県において、7月28日の豪雨に匹敵する記録的な大雨となりました。また、27日と28日は、上空に寒気を伴う気圧の谷の影響で、北日本を中心に雨となり、特に27日は北海道で大雨となったところがありました。

被害の状況
この大雨により、死者2名、負傷者4名の人的被害、全壊9棟、半壊12棟、一部破損113棟、床上浸水268棟、床下浸水1711棟の住家被害が発生しました。また、JR三江線の橋脚の流出等の公共土木施設、農地・農業用施設、文教施設の被害などが生じました。(9月10日現在)

政府の対応
政府では、8月24日に関係省庁災害対策会議を開催し、今後の気象状況の見通し及び被害状況並びに各省庁の対応状況について情報共有を行いました。
また、「8月23日から同月25日までの間の豪雨による島根県江津市及び邑智郡邑南町の区域に係る災害」を激甚災害に指定し、島根県江津市及び邑智郡邑南町の区域を対象に、公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助、農地等の災害復旧事業等に係る補助の特別措置、小災害債に係る元利償還金の基準財政需要額への算入等を適用しました。
8月23日には、災害救助法が島根県江津市に適用されました。

3.9月2日及び4日の竜巻等による被害状況等について

気象の概況
【9月2日】
2日は、関東地方には九州北部から伸びる前線が停滞しており、この前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んでいました。さらに、日中の地上気温の上昇が加わり、大気の状態が非常に不安定となっていました。こうした中、発達した積乱雲にともない、埼玉県さいたま市、越谷市、松伏町、千葉県野田市及び茨城県坂東市にかけて竜巻が発生しました。気象庁の調査では、この竜巻は、風速は毎秒50~69メートルに達した(藤田スケールのF2)と推定されました。
【9月4日】
4日は、台風17号から変わった低気圧や前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだため、大気の状態が非常に不安定となり、次のとおり、各地で竜巻が発生しました。
・高知県宿毛市、同安芸市で、それぞれ風速が毎秒17~32メートル(F0)の竜巻
・栃木県鹿沼市から宇都宮市、塩谷郡塩谷町から矢板市で、それぞれ風速毎秒33~49メートル(F1)の竜巻
・三重県伊勢市から小俣町において、風速毎秒17~32メートル(F0)の竜巻
【9月7日】
7日は、北海道付近は気圧の谷となっており、大気の状態が不安定となりました。こうした中、北海道苫小牧市で風速が毎秒17~32メートル(F0)に達すると推定される突風が発生しました。

被害状況
この竜巻等により、重傷者7名、軽傷者60名の人的被害、全壊13棟、半壊37棟、一部破損1468棟の住家被害が発生ました。特に、埼玉県では、住家全壊12棟、半壊31棟、一部破損1140棟の被害が発生しました。(9月13日現在)

政府の対応
政府では、9月2日に関係省庁災害対策会議を開催し、今後の気象状況の見通し及び各省庁の対応状況について情報共有を行うとともに、迅速な被害状況の把握に努め、関係省庁間の情報共有を図ること、被災者の方々が一日も早く安心した生活に戻れるよう、各省庁において可能な限りの支援を行うこと等を確認しました。また、同日、内閣府職員を情報先遣チームとして埼玉県及び千葉県へ派遣し、現地調査及び情報収集を実施しました。
さらに、亀岡内閣府大臣政務官(防災担当)を団長とする政府調査団を、9月3日に埼玉県へ、同4日に千葉県へ派遣し、被災自治体の首長等と意見交換を行うとともに、被災現場の調査を実施しました。
その後、9月5日に、古屋内閣府特命担当大臣(防災)、西村内閣府副大臣(防災担当)及び亀岡内閣府大臣政務官(防災担当)出席のもと関係省庁災害対策会議を開催し、政府調査団調査報告を行ったほか、被害状況及び各省庁の対応状況について情報共有等を行いました。

支援策
この災害に対し、災害救助法が、9月2日に埼玉県越谷市、同北葛飾郡松伏町に適用されたほか、9月2日に被災者生活再建支援法が埼玉県越谷市に適用されました。

竜巻等突風対策局長級会議の設置
今般の竜巻により大きな被害が発生したことから、関係府省庁の局長クラスで構成される「竜巻等突風対策局長級会議」を設置し、第1回会合を9月6日に開催しました。今後、当会議において、取り組むべき竜巻等突風対策を早急に取りまとめることとしています。

住宅街の被害状況(埼玉県越谷市大杉地区)

中学校体育館の被害の様子(埼玉県越谷市大松地区)

住宅街の被害の様子(埼玉県松伏町大川戸地区)

住宅被害及び撤去した瓦礫の様子(千葉県野田市岩名地区)

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内閣府政策統括官(防災担当)

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