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編み物やっぺ! スマイルニット倶楽部

この見事にカワイイ物体、実は”たわし”なんです。
被災地の編み手さん制作の「スイーツエコたわし」はドーナツ型のアクリルたわし。
ひとつひとつ丁寧に編まれ、メッセージが添えられています。

被災地に笑顔を増やそう

東日本大震災により甚大な被害を受けた宮城県石巻市。その石巻市を中心に、編み物を通じた被災地支援活動を行う「編み物やっぺ!スマイルニット倶楽部」は、震災直後から救援活動を続けているNPO法人「フェアトレード東北」(FTT)のオンラインでの物資募集を担当していた神奈川県の佐藤さんと、物資提供の支援をされていた各地の有志の方たちが立ち上げた団体です。

狭い避難所などで、じっとしていることが多くなった高齢者の体調悪化と積み重なるストレスを気遣うFTTの現地スタッフの声に、「少しだけでも息抜きできる時間を提供できたら」と選ばれたツールが”編み物”。「避難所など、一人あたりのスペースがごく限られた場所でも出来そうだということで思いついたのが編み物でした」と語る佐藤さん。

仮設住宅の集会所で、お茶を飲みながら編み物を楽しんでもらう交流の場として「編み物お茶っこ飲み」が、昨年7月からほぼ月1回のペースで開催されています。「参加した皆さんから『夢中で編みました』『こんな楽しい時間は久しぶり』と喜びの声がたくさん届きます」

心配ごとや不安の多い被災者の方々にとって、編み針を動かしている間は、日常のあらゆることを忘れて集中できる貴重な時間。会の後には前向きな言葉が多く聞かれ、精神衛生上も非常によい影響があることを倶楽部の皆さんも実感されるそうです。編み物初心者の方から、講師の先生を手伝われるほど上手な方、そして”お茶っこ”しながらのおしゃべりに寄る方など、いろいろな方が参加され、「どなたも帰るときには素敵な笑顔を見せてくださいます」

スマイルニット倶楽部は被災地在住の編み手さんの作品を、オンラインショップや協力されている全国各地のお店などで販売しています。倶楽部オリジナルの「スイーツエコたわし」は大変好評で、11月までに5千個以上が販売され、その利益は編み手さんの賃金や被災地での「お茶っこ」開催などの支援活動にあてられています。

「編み手さん達に作っていただいた素朴なたわしと手書きのメッセージには、手に取った人に被災地へと想いをめぐらせ、自らの防災の備えや生活を見直す機会を与える力があるようです」

佐藤さん達が想像していた以上に、全国へ直接メッセージを発信する強力なツールとなっています。

また、仕事などで「お茶っこ」に参加できない方に、毛糸や道具などの「編み物セット」を届ける活動もされ、こちらも大変喜ばれているそうです。

倶楽部には編み物のレベルや職業、年齢もさまざまなボランティアの方々が、それぞれに忙しい日常を送りながらも献身的に関わっています。

スタートから1年半以上が経過したなかで、発足当初に行っていた被災地への防寒具などの編み物プレゼントは、充足したとの現地の声を受けて終了するなど、倶楽部の活動に変化があるのは、その時々の被災地の状況や、現地の皆さんの気持ちにそって活動の重点や内容を変えてこられているからです。この柔軟さは、メンバーのきめ細やかな気配りの表れでしょう。

「ボランティアとしてお手伝いに伺う我々は、現地の皆さんの声に耳を傾けながら、ひとりひとりが置かれた環境やペースに合わせてお手伝いをしていくことが、”支援のミスマッチ”を招かないためにも、とても大切なことではないでしょうか」と佐藤さんは考えています。

宮城県石巻市にある仮設団地の集会所で開催された「編み物お茶っこ飲み」。
中央は、スマイルニット倶楽部会長の佐藤綾子さん

スマイルニット倶楽部オリジナルの「スイーツエコたわし」

Profile スマイルニット倶楽部
(発起人・会長:佐藤綾子さん)

スマイルニット倶楽部は、2011年5月に設立されたボランティア団体。現在、宮城県石巻市・名取市の仮設住宅の集会所で「編み物」によるレクリエーション「編み物お茶っこ飲み」の開催等の活動を実施中。「編み物やっぺ!」を合言葉に、編み物で被災地に笑顔を増やそうと長期的支援に取り組んでいる(http://smile-knit.com/)。

老若男女誰でも気軽に参加でき、自分のペースで編み物が楽しめる交流の場「編み物お茶っこ飲み」。
「ちょっとおしゃべりに」と立ち寄ってくださる方も大歓迎

一緒に編むことで男性にも参加しやすい雰囲気を作ろうと”ニット男子部”が発足。
「編み物お茶っこ飲み」の会場を”男でいっぱい!”にすることを目標に頑張っております

その他の展開

”編み物で支援したい”との思いを持つ方々と被災地の方々を結びつけるプロジェクト「つなぐバッグ」。全国の編み物上手の方が編んだ素材を、被災地の方が編んだものと現地ではぎあわせてバッグを制作、仕様・デザインは錦小路ナンシーさん。チャリティー作品として販売する予定です。

被災地の方々を結びつけるプロジェクト「つなぐバッグ」

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

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