Disaster Management News—防災の動き

竜巻等突風対策局長級会議報告

平成24年5月6日に、東海地方から東北地方にかけて大気の状態が非常に不安定となり、落雷や突風、降ひょうを伴う発達した積乱雲が発生し、茨城県、栃木県及び福島県において複数の竜巻が発生しました。これらの気象により、死者3名(うち2名は落雷が原因)、負傷者59名のほか、住家・非住家被害があわせて1,900棟以上となるなど、甚大な被害がもたらされました。

こうした甚大な被害を踏まえて、竜巻等突風に対する対策を充実・強化するため、末松内閣府副大臣を座長として、関係府省庁により構成される「竜巻等突風対策局長級会議」が開催され、平成24年8月15日に報告がまとまりました。

報告では、住民及び市町村における竜巻等突風に対する当面の対応例を示すとともに、竜巻等突風被害を軽減するための国における当面及び中期的な取組について取りまとめています。

竜巻は、年間の発生数が10数個から20個程度であり、発現時間が数分から20分程度と短く、直線状に移動するため、被害地域は幅が数十〜数百m、長さが数km程度の帯状の範囲となります。このため、台風、大雨、大雪等他の気象災害に比較して、個人単位、建築物単位でみると、遭遇する頻度が非常に低いといえます。したがって、住民や市町村においても、経験や知識が少なく、十分な対応方針を持ち合わせていない場合も多いと考えられることから、報告において、住民及び市町村の参考となるよう、竜巻注意情報等の竜巻等突風に関する情報を受けた対応行動の例を示しました。

気象庁から発表される竜巻注意情報は、他の防災気象情報に比較して、予測精度がかなり低いという課題もありますが、一方で、発表されている場合の大気の状態は極めて不安定で、通常に比べて竜巻等突風が発生する可能性は約200倍高まっていることを示しています。このため、竜巻注意情報が発表された場合の住民の対応として、特に周辺の気象の変化に十分に注意し、もし積乱雲の近づく兆しを察知した時や竜巻の接近を認知した時には、主体的に判断して適切な対処行動を取ることにより、自らの身の安全を守ることが重要となります。また、市町村としては、住民の行動を支援するために適切に竜巻等突風に関する情報の提供を行うことが重要となることから、報告に記載した対応例を参考に、可能なことから取り組んでいくことが期待されます。

これらの住民や市町村の対応を支援するため、国としては、例年、竜巻の発生が多い秋に向けて、竜巻等突風に関する知識や対応行動の普及・啓発等について直ちに取り組んでいくこととしています。

更に、中期的には、竜巻等突風による被害の軽減のために竜巻注意情報等の予測精度の向上が有効であることから、研究・開発の取組を進めていくこととしています。また、米国には竜巻等突風の激しい気象現象の目撃情報提供を行う仕組み(スポッター制度)が存在しており、我が国においても竜巻の目撃情報を活用するための検討・試験運用の取組を実施すること等の取組を報告に盛り込んでいます。

今後とも、本報告に基づいて政府一丸となって取り組んでいくことにより、竜巻等突風に対して万全の対策を図っていくこととしています。

末松内閣府副大臣(右から2 人目)を座長とする「竜巻等突風対策局長級会議」の様子

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.