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落語家 桂三枝さん

創作落語やテレビ司会などで精力的な活動を続ける桂三枝さん。
9月1日の防災の日を前に、新たに「減災ひろめる芸人応援隊長」にも就任する運びとなりました。減災に努めることがいかに大切か。その確固たる思いを語っていただきました。

大切なのは怖さを忘れず、常に備え続けること

桂三枝さんが「減災ひろめる芸人応援隊長」に
内閣府政府広報室と吉本興業株式会社の協力による『減災』広報活動が始まり、8月29日、政府広報室と吉本興業株式会社共催によるイベント「今、最も知りたい『減災』〜47都道府県 あなたの街に“住みます”芸人 公開授業」が吉本興業東京本社で開催されました。
『減災』とは自然災害による被害を完全に防ぐのではなく、住宅の耐震化や家具の固定など様々な準備を通して、被害を最小限に減らそうという取り組みです。
内閣府の『減災』推進活動に吉本興業の賛同を得て、地域活性化のために全都道府県に散らばった“住みます”芸人の皆さんが、各地で『減災』広報活動にも取り組むことになりました。
会場には全国から集まった“住みます”芸人40組68名が登場。「減災ひろめる芸人」としての今後の活動を誓い合い、「減災ひろめる芸人応援隊長」に任命された桂三枝さんが全員に熱いエールを送りました。
激励セレモニーの後、平野達男防災担当大臣代理の別府充彦政府広報室長から三枝さんに減災グッズのヘルメットが授与され、その後、福和伸夫名古屋大学大学院教授による「今、最も知りたい『減災』」の公開授業を実施。最後には修了証が授与されました。

備えは日々の暮らしの中にこそ
「このような活動のお話をいただき、私は〝住みます〟芸人が本当にみなさんのお役に立てる時が来たんじゃないかと思っています。みんなにはずっと活動を続けてもらい、減災の大切さをアピールしていただきたい」
「減災ひろめる芸人」にそうエールを送った三枝さん自ら、この7月に宮城県と岩手県の被災地を訪問し「移動あおぞら花月」を開いています。
「私にできることは笑いを届けることしかないんですが、避難所の中には静かになさりたい方もいらっしゃいます。押しつけがましくなってはいけませんし、方法とタイミングを慎重に練っておりました。そんな時にふと、花月の舞台をそのまま移動トラックの上に作ってお伺いしてはどうかと思ったんです」
「アート引っ越しセンター様に相談したところ全面的にご協力いただけることになり、背景が日の出のイメージの舞台を作ってくださいました。その舞台の上にパイプ椅子をいっぱい積んで、お伺いしたわけです。そうすれば、設営のために現地の方のお手をわずらわせることもありませんから」
花月のテーマ音楽とともに舞台が現れ、客席はたちまち笑いの渦に。「移動あおぞら花月」は大好評でした。
「どういうことをすれば一番喜んでいただけるかなど、みんなでいろいろ話し合いましたが、実際はあまり神経質になる必要はなく、いつものように舞台を務めさせていただきました。泣きながらお礼を言ってくださったり、バスが去る際には、追いかけたりいつまでも手を振ってくださったりと、みなさん本当に大変喜んでくださいました」
三枝さんご自身も、小学生の時にジェーン台風の水害や火災による実家の焼失を経験しています。その体験が今もトラウマとして残っているともおっしゃいます。
「災害の怖さというのは、実際に経験してみないとなかなかわかりません。私は今も、玄関にヘルメットと、非常食や懐中電灯を中に入れたリュックを置いてあるんです。阪神・淡路大震災の後には枕元にリュックを置いたりする人がけっこういましたが、今も続けている方は減っています。こういうことはいつまでも続けることが大切です。そのことを「減災ひろめる芸人」のみんなには、ぜひとも伝えてほしいと思っています」
減災に対する思いを、三枝さんはこんな言葉で締めてくれました。
「災害に遭った時は自分が落ち着いて行動できるかどうかが大事ですし、周りの人を助けてお役に立つことも大切です『備えあれば憂いなし』という言葉があります。私も「減災ひろめる芸人」の応援隊長を仰せつかりましたので、一生懸命にみんなとともに勉強して、減災に努めていきたいと思います」
取材・文 松原 敏雄
撮影 橋詰 芳房

Profile かつら・さんし
落語家・タレント。1943年大阪府堺市生まれ。1966年に桂小文枝氏に弟子入り。ラジオの深夜番組やテレビの司会ですぐに圧倒的な人気を獲得。「新婚さんいらっしゃい!」は2010年放送40周年を迎えた。1981年に創作落語を定期的に発表する「落語現在派」を旗揚げし、現在までに200を超える作品を発表。海外でも落語会を開催するなど精力的な活動を続ける。2003年に第6代目上方落語協会会長に就任。文化庁芸術祭演芸部門大賞、紫綬褒章、ほか受賞歴多数。2012年7月、六代目桂文枝を襲名予定。

公開授業イベント。最前列左から、別府充彦政府広報室長、
桂三枝さん、福和伸夫名古屋大学大学院教授。
後列は、「減災ひろめる芸人」の皆さん

福和伸夫名古屋大学大学院教授による
「今、最も知りたい『減災』」 公開授業の様子

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