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テレビ東京アナウンサー 大橋 未歩さん

入社してから8年半、スポーツ番組を中心に担当し、いまはバラエティ番組などにも仕事の幅を広げているテレビ東京アナウンサーの大橋未歩さん。いつも元気で、飾らず、等身大の女性らしい姿を見せてくれる、局の看板アナウンサーです。
大橋さんは、実家がある神戸市の須磨区で阪神・淡路大震災を経験しています。
大地震の怖さ、そのときの思いなどを率直に語っていただきました。
いざというときのために参考にして、備えにつなげたいお話です。

部屋の物が飛び落ちてくる大地震
家具の配置には十分に注意して!

 中学生のときにバルセロナオリンピックを観て感動し、「自分もオリンピックに関わりたい!」と、アナウンサーを目指した大橋さん。なんと入社3年目にして、アテネオリンピックの中継に携わり、早くもその夢を叶えた。そして次の北京オリンピックの際は、2年前から選手たちの取材に取り組んで、彼らの努力が結実する瞬間を目の当たりにし、感動で心がふるえるような毎日を経験できたそうだ。
 頑張り屋で、「後悔することが何よりも嫌い」という意欲的な彼女。トレードマークのような明るい表情が印象的なので、これまでの人生も順風満帆に過ごしてきたように思われがちだが、実は高校1年生のときに阪神・淡路大震災に遭っている。
 「あまりの揺れの大きさに身動きもできませんでした。机の下に避難するなんて、とてもじゃないけれどできません」と大橋さんは当時を振り返る。
 恐ろしい地鳴り、鉄筋とコンクリートがきしむ不気味な音。「マンションが倒壊したら死ぬんだ」と、初めて死を意識した。
「部屋の電気がついていたので、電灯が踊るように左右に大きく揺れているところや、本が本棚から下にスッと落ちるのではなくて、水平に勢い良く飛び出すところが良く見えました。いまでもその光景をはっきりと思い出すことができます」
 多感だった10代での被災。家族も自分の周囲にも、幸いにして命を失う人はいなかったが、喪失感から、何かを成すことに意味があるのかと無気力に陥った時期があったそうだ。
 「余震がおさまるまでのしばらくの間、漆黒の闇を窓から眺めていました。もう二度と太陽は出ないんじゃないかと思うような時間。でも、やっぱり朝は来たんですよね。明けない夜はないように。自分ももう一度希望を持とうと思いました」
 そしてアナウンサーになる夢を思い出した。
 「“被災したから頑張れた”というように、被災が良かったことと受けとめられてはいけないと思っていますが」と言葉を選びながら、「少しでも興味があることにはトライする、後悔しないようにしようと思うのは、被災の経験から来る部分もあるかもしれません」
 現在、自宅には2リットルペットボトルを2ダース常備している。ベッドの周囲には家具や重い物を置かないようにして、窓ガラスは地震の際でも安全性の高いものを使っている。
 「地震のとき、父は、頭側にテレビを置いていたのですが、揺れが大きかったので、父の頭を飛び越えてテレビが倒れた。だからなんとか無事でした。でも倒れてきた物で押しつぶされた方も多いです。家具の配置には気をつけなければいけないですよ」
 被災経験者だからこそ語れる、大地震の詳細。こういった声をおろそかにしないで、できることは速やかに実践しなければと思わされる、大橋さんの体験談だった。

大橋未歩さん

撮影:相澤 正

大橋未歩さん

Profile おおはし・みほ
テレビ東京アナウンサー。1978年生まれ。兵庫県出身。2002年に株式会社テレビ東京入社。これまで、スポーツニュースや2004年に開催されたアテネオリンピック、2010年のバンクーバー冬季オリンピック中継などを担当。現在は、「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」(金曜・夜9:00〜9:54)、「やりすぎコージー」(水曜・夜10:00〜10:54)、「極嬢ヂカラPREMIUM」(火曜・深夜0:12〜0:53)などバラエティ番組も担当している。「今後は社会に貢献できるような仕事にも携わっていきたい」と、仕事の幅を広げることにも意欲的。

担当番組「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」に出演中の大橋未歩さん

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