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気象予報士・木原 実さん

テレビの情報番組で、お天気キャスターとして活躍する木原実さん。
軽妙な語り口で生活情報を交えながら気象情報を伝えています。
視聴者から災害に関する解説を求められたことをきっかけに、防災に関する知識も
独学で身に付けました。楽しい話術を生かした講演活動などを通じて、いざという時に役立つ
防災知識の普及も行っています。また、毎日、携帯用防災セットを持ち歩くなど、 日ごろから災害に備えています。

「防災意識」を高めるために
楽しく伝える工夫をしていきたい

 木原さんは、お天気キャスターに抜擢されるまで、「気象」には全く縁がなかったという。
 「知識は全くありませんでした。夕方のお茶の間の天気予報によく合いそうな、奥様方に不安感を与えない顔と声というのが選ばれた理由らしいです」(笑)
 当初は、用意された原稿を読むだけだったが、知識が身についてきて、視聴者に役立つようにと工夫を始めた。「洗濯物がよく乾きます」、「折り畳み傘を用意して」など、最近の天気予報では当たり前となっている、こうした生活情報も付け加えるようになった。
 その後、気象予報士制度が誕生して、木原さんも受験することに。
 「この資格は、予報を出すためのもので、予報を伝えるだけのお天気キャスターには本来不要なものです。でも、他局の人が資格に挑戦することになったら、番組スタッフから『木原さんも受かるよね』と言われて。『受けるよね』じゃなくて『受かるよね』」(笑)
 試験には2回目の挑戦で合格し、番組では「気象予報士 木原実」のテロップが流れるようになった。
 木原さんが「防災」を強く意識するようになったのは、やはり阪神・淡路大震災から。
 「高速道路が倒壊している映像など、あまりに現実味がなくてショックでした。そんな状況下で現地のFM局のアナウンサーが被害状況を繰り返し伝えていたと聞いて、放送に携わる人間として、災害発生時に何をどう伝えたらいいのかと考えるようになりました」
 視聴者からの災害や防災に関する質問も増え、木原さんは「これからは防災の知識も必要」と勉強を始め、防災士の資格を取得した。
 「多くの方が知りたいのは、災害が起きた時に生き残るためには何が必要かではないでしょうか。家に非常用持出袋があっても、自宅にいるときに地震が来るとは限らない。防災グッズは常に身につけているべきでは」と、木原さんは、自分のバッグから、携帯用防災セットを取りだした。軍手、雨合羽、簡易トイレ、三角巾、携帯電話充電器、ラジオ、イヤホン、懐中電灯、万能ナイフが、システム手帳ぐらいの大きさのケースに収まっている。
 「毎日持ち歩けるサイズと重さで、外出中に災害に遭遇した時に必要なものを選びました。実は、ほとんどが100円均一ショップで揃うものです」
 毎年、阪神・淡路大震災の1月17日(防災とボランティアの日)と9月1日(防災の日)には、電池の入れ替えなど中身のチェックを行っているという。
 「ただ、防災について考えるのが、1月と9月の年2回では、間隔が空きすぎているような気がします。一方で、毎日のように繰り返し『防災』を訴えると、『どうせ来ないよ』と備えを怠けてしまう。楽しく、面白く、印象深く、防災を考えられるように伝えるのが僕の役目です」と木原さん。
 「地震が来たときに、外に飛び出すのがいいか、机の下に潜るのがいいかは、究極の選択。しかし、震度6強の揺れの中で、ドアに向かって歩けると思いますか? 火を消せますか? 想像してみてください。大揺れで歩けないでしょう」と、地震発生時の心構えをコミカルに説明する木原さん。落語仕立てで防災を楽しく伝えることも準備中だそうだ。

木原実さん
木原実さん

Profile きはら・みのる
気象予報士、防災士、俳優。1960年東京都生まれ。日本大学芸術学部演劇学科卒業後、舞台俳優として活動しながら、レポーターや声優としても活躍。86年から日本テレビのお天気コーナーを担当。95年、気象予報士資格を取得。現在は日本テレビ系『ズームイン!!SUPER』『news every.』などに出演するほか、俳優やナレーターとしての仕事も続けている。また、趣味の落語を生かして、「エコ落語」を発表。環境問題を伝える活動にも力を入れている。

「news every.」お天気コーナーリハーサル中の木原実さん

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