Disaster Management News—防災の動き

『百年後のふるさとを守る』
  ─『稲むらの火』が、64年ぶりに国語教科書に復帰

  2011年4月から、全国の小学校で新学習指導要領が全面実施される。防災教育に関する記述も、追加や修正が行われ、さらに内容の充実が図られている。
 このような流れの中、津波教訓を伝える物語『稲むらの火』の主人公のモデルとなった濱口儀兵衛の伝記『百年後のふるさとを守る』が平成23年度の小学5年生用国語教科書(光村図書出版株式会社発行)に掲載される。執筆者は、人と防災未来センター(神戸市)のセンター長を務める河田惠昭関西大学教授。
 『稲むらの火』は、庄屋の五兵衛が大切な稲むらに火を放ち、その火で村人を安全な高台に導いて津波から救った物語。紀州藩広村(現在の和歌山県広川町)で、1854年の安政南海地震の津波から村人を守った濱口儀兵衛の実話をヒントに、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が創作した原作が子供用に書き改められた
ものである。昭和12年から10年間にわたり、文部省の国定国語教科書に掲載されていた。
 新たに書き下ろされた『百年後のふるさとを守る』では、津波が去った後、村の復興と防災対策のため、濱口儀兵衛が実際に行った堤防建設の取り組みがつづられている。
 広村は、津波で漁船や田畑などに壊滅的な被害を受け、多くの村人が仕事や住居を失った。そこで儀兵衛は、醤油醸造業で得た自らの私財を投じ、村人を雇用して堤防建設を行うことを計画。この堤防建設工事のお陰で、村人は防災事業に協力するとともに収入も得ることができた。
 約4年の歳月をかけ、1858年に全長600m、高さ5mの広村堤防が完成。そして88年後の1946年、実際に広村は昭和南海地震に伴う津波に襲われるが、広村堤防のお陰で村の大半は浸水被害を免れた。

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