Disaster Report 海外災害レポート

2009年9月サモア諸島沖地震に伴う津波災害

 9月29日、サモア諸島沖でM8の地震が発生、それに伴う津波により、多くの被害が生じました。直後の現地調査から被災状況などを報告します。

 2009年9月29日6時48分頃(現地時間)、南西太平洋、サモア諸島沖を震源とするマグニチュード8.0の地震が発生しました。それに伴い発生した津波により、死者・行方不明者は、サモアで148名、米領サモアで35名、トンガで9名となり、全体で192名に達しました(10月22日時点)。

津波の特徴

 今回の津波は、南西太平洋で太平洋プレートがオーストラリアプレートの下に沈み込むトンガ海溝付近で起きた地震により発生しました。この地震は、プレート境界ではなく、沈み込んだ太平洋プレート内で発生しており、1933年の三陸地震と同じメカニズムでした。この地震により、米領サモアに約20分で津波が到達しており、その高さ(陸上を這い上がった地点の地盤高)は南部沿岸の各所で4〜6mに達していました。また、目測で確認できる大きなものだけで3波以上来襲していたこともわかりました。

 震源と各国の位置関係(Google Map に加筆)

住民の避難行動

 米領サモアは、津波の規模に対して人的被害は軽微だった印象を受けました。海岸沿いの幹線道路は、起伏に富み高台へのアクセスがよく、また、警報を待たずに避難行動を開始したという住民の証言も得られています。これらにより、津波の規模に比べて人的被害は小さく抑えられたものと推測されます。日本の津波防災のためにも、今後、住民の避難行動や行政の対応について、詳細な調査を実施する必要があります。

被害の概要

 一方で、家屋被害は甚大です。米領サモア・トゥトゥイラ島南部沿岸では、土地の低い集落を中心に家屋の全壊や流出が相次ぎました。発電所が津波で水没し発電機が使用不能になり、滑走路上に散乱した瓦礫により空港が一時閉鎖するなど、人命救助や応急対応などに重要な社会インフラに被害が出ました。島内の発電所は1基のみとなり、発災10日目でも断続的な停電が続いていました。

復旧・復興対応状況

 調査時点では、被災地内に被災者用のテントが点在しており、これから被災者への生活支援が本格化していく段階でした。ちょうど被災者の避難生活を支援するためのニーズ調査が行政により実施されていました。
 津波で発生した瓦礫などの廃棄物の撤去作業は、比較的早く進んでいる印象を受けました。津波で流出した橋梁が早期に復旧し、幹線道路が使用できるため、被災地に重機や大型トラックが投入されているうえに、周辺の集落からかけつけた住民の協力が得られているためと考えられました。
 (阪神・淡路大震災記念人と防災未来センター研究部主任研究員 奥村与志弘)

 大破した自動車が建物に突き刺さったパゴパゴ公園の被害

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