シリーズ 一日前プロジェクト(第10回)

もし、1日前に戻れたら…
私たち(被災者)から皆さんに伝えたいこと

地震、津波、風水害……さまざまな災害を実際に体験した方に、 「もし、一日前に戻れたら何をしますか?」と訊ねたのが、「一日前プロジェクト」。被災者の声は、 私たちにいろいろなことを教えてくれます。今月のテーマは『台風23号(平成16年10月)パート2』です。

人に頼る避難より自主避難を(徳島市 50 代 男性)

 災害対応にあたっていると、避難する側の人の心構えが大事だなと思います。「犬を飼っているので、犬を連れていってもいいか」とか、「寝る布団はあるのか」、「食うものはあるか」とか、いろんなことを言う人もいました。
 市営住宅の人たちを避難させに行ったときには、消防団が車で送り迎えしてくれるというような考えでいるから、なかなか自分から動かないんですよ。みんな乗用車を持っているんだから、各戸で誘い合って乗っていったらいいのに、悲しいかな、それができない。何度も車で往復しなければならず、時間もかかって大変でした。
 それ以降、台風時などの出水については早目の避難ということで、住民の皆さん方には、早い形で自主的に避難をしてくださいというようなマニュアルづくりをしています。
 これからは住民の皆さんが自主的に動く自主防災会のようなシステムをこしらえておく必要があると思いますね。

人に頼る避難より自主避難を

「いままで大丈夫だったから」は危ない(徳島市 60 代 男性)

 ずっと昔、我々がちょうど小学校2、3 年生のころに、今回と同じ川の堤防が決壊して、軒下まで水が来たんです。そのときに大きな被害を受けたので、地区の人たちの台風に対する備えや考え方は十分にできていたと思いますが、「40 年以上たったから、もう心配ない」というのがどこかにあったのではないでしょうか。
 平成16 年は台風が特に多かった年で、5 回台風が来てもなんとかなっていたものだから、6 回目の台風23 号の時には、「避難しろ」と言っても、なかなか言うことを聞かなかったということなんですよ。
 それで大変な被害を受けたものだから、あれから、台風がくるといえば、みんな、車とかを高いところに上げています。それがいつか、「上げたけど心配なかった」になり、「もう上げなくてもいい」というようになって、危機感がだんだん薄れていかなければいいのですが。今回の水害で、『災害は忘れたころにやってくる』ことを実感しました。

「いままで大丈夫だったから」は危ない

危機一髪、家を出た後に土砂くずれ(宮津市 30 代 女性)

 その当時、上の子が幼稚園で、下の子が保育所に通っていました。私は仕事中だし、家族みんなが川を挟んでばらばらのところにいたわけです。
 上の子は幼稚園が終わって実家のほうに預かってもらっていましたが、実家に迎えに行こうにも川を渡らなければならないのです。
 で、実家のほうに、「雨がすごいし、川の水があふれてきているみたいだから、私の家のほうに行っといて」とお願いしたんです。それから保育所のほうは主人に引き取りを頼みました。
 結局、母が家を出た何分後かに土砂崩れがあって、家は全壊しました。実家は一番山側にあって、その年は結構雨が多く、何回か近くのがけが崩れていたので、何となく「怖いな」と思っていました。早く移動してもらって、ほんとに良かったなと思っています

危機一髪、家を出た後に土砂くずれ

https://www.bousai.go.jp/km/imp/

被災者の実体験を聞くことができる『一日前プロジェクト』は左記HPでも見ることができます。家庭はもちろん、地域や職場など、さまざまな話が掲載されていますので、企業の「社内報」や地域での「広報」に幅広く活用してください。

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