火山防災エキスパート制度について
検討の経緯
平成18年11月から平成20年3月にかけて、火山防災対策に関係する4府省庁(内閣府(防災担当)、総務省消防庁、国土交通省砂防部、気象庁)が事務局となって、「火山情報等に対応した火山防災対策検討会」を9回開催しました。検討会では、火山情報のあり方や、住民等の避難体制のあり方について、座長である田中淳東洋大学教授(現東京大学総合防災情報研究センター長)を中心に、熱心にご議論いただきました。その成果は「噴火時等の避難に係る火山防災体制の指針」として取りまとめられ、平成20年3月19日に公表されています。
指針の中では、火山防災体制の構築や噴火時等の防災対応には、火山の特徴や過去の災害状況を熟知した職員が必要であると指摘されています。その一方で、我が国にはそうした実務者がほとんどいないという現実も指摘されており、その解決策として、地方公共団体等で噴火時等の防災対応の主導的な役割を担った経験のある実務者が、火山防災エキスパート(仮称)として、各地の地方公共団体の取組の支援に当たることが有効であると提言し、そのための全国的な支援組織を国が構築すべきだとしています。
指針の提言を受けて、内閣府では、類似制度に関する調査、火山防災エキスパートに対する地方公共団体の要望調査、制度のあり方の検討等を進め、その結果を「噴火時等の避難に係る火山防災対策懇談会」(平成21年2月2日開催)で報告しました。さらに、3月24日には、火山防災エキスパートの候補者から構成される「火山防災エキスパートワーキンググループ」を開催し、制度のあり方について、具体的な支援内容、派遣に要する費用とその負担のあり方、派遣までの手続き等について、さらに検討を深めていただきました。

火山防災エキスパートワーキンググループの様子


支援内容
火山防災エキスパートは、地方公共団体からの要請内容に応じて、主として以下のような支援を行う予定ですが、今年度は、まず平常時の支 援に取り組む方針としています。
- 平常時
- 協議会等の設置、運営等の支援
- 各火山の地域防災計画、火山防災マップ等の作成支援
- 地方公共団体の長及び職員への研修
- 防災訓練実施の支援
- 噴火時等の異常発生時
- 合同対策本部等の運営等についての支援
派遣手続き
火山防災エキスパートの派遣については、地方公共団体からの派遣要請を内閣府が受け付けて、その要請内容や日程などに応じて、地方公共団体へ派遣する火山防災エキスパー トを決定することとしています。
火山防災エキスパート制度の発足後には、内閣府防災情報のページに制度の概要等を掲載する予定です。その中には、派遣を要請する上での参考として、火山防災エキスパートを紹介するページも設ける予定ですので、是非そちらもご覧ください。
今後の予定
現在、内閣府では火山防災エキスパート制度の発足に向けて準備を進めており、火山防災エキスパートの委嘱手続きが終わり次第、火山防災エキスパート制度の運用を開始する予定です。
活火山を有する地方公共団体においては、是非、本制度を利用していただき、火山防災エキスパートが持っている貴重な経験・知見を活かしつつ、火山防災体制の充実・強化に取組んでいただきたいと考えています。
