日本の知恵を世界に 第6回

セミナー・支援プロジェクト

 兵庫県立舞子高校と大学、心理専門家がタッグを組んで各地で心のケア・防災教育を行っています。

兵庫の体験を世界の被災地へ生かす

 阪神・淡路大震災から15年、兵庫では心のケアの専門家と教職員が子どもたちの心のケアに取組み、多くの事例とノウハウを蓄積してきました。子どもたちの心と行動の変化を受け止め、理解し、共感し、寄り添いながら支えたのです。震災直後だけではなく、数年間、ケアを必要とする子どもの数が減少しなかったこと、震災から10年、15年が経過しても、家庭環境の変化などから、特別な支援が必要な子どもたちがいることを、データで示してきました。こうした蓄積は、国内の被災地で教育復興に活用されています。
 この震災では、多くの人々が支え合い、助け合いながら苦境を乗り越えていきました。兵庫県教育委員会は、命の大切さや助け合い、思いやりの素晴らしさを伝える防災教育を進め、2002年には、兵庫県立舞子高校に全国初の環境防災科を設置し、これらの価値に加え、多様な防災教育を実践してきました。
 2005年に教職員組合の国際的な連合体であるEI(Education International)が、スマトラ島沖大地震・インド洋津波の被災地スリランカとインドネシアのバンダアチェで、教職員を対象に、子どもたちの心のケアと防災教育のセミナーを開催しました。そのとき、兵庫県がその任を負ったのは、必然だったといえます。
 2007年夏には、心理の専門家と舞子高校がスリランカを再訪し、同様のセミナーを開催しました。さらに、2009年3月の現地調査を経て、2010年度からは、神戸学院大学学際教育機構防災・社会貢献ユニットと、これまでの心理支援プロジェクト関係者がタッグを組み、新たにJICA草の根支援プロジェクトとして、スリランカで心のケアと防災教育を融合したプログラムを実施します。
 四川大地震の被災地では、JICAが2009年度から、向こう5年間、心理支援プロジェクトを展開します。その中心は兵庫県の心理専門家と震災・学校支援チームEARTHのメンバーです。舞子高校と神戸学院大学も2008年、2009年の10月に被災地を訪れ、防災教育をテーマに交流しています。兵庫の心のケアと防災教育は世界の被災地を支援し続けます。

スリランカで教職員を対象とした心のケアと防災教育のセミナーを開催(2009年3月)
四川省の職業学校で生徒たちと防災交流(2008年10月)
諏訪清二さん
諏訪清二
すわ・せいじ。兵庫県立舞子高等学校教諭、環境防災科科長。兵庫県学校・震災支援チームEARTH 所属。文部科学省防災教育支援に関する懇談会委員など

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.