やってみよう!家具固定 第2回

 大地震の際の被害の有無は、家の耐震化だけではなく、家具の固定の状況に大きく影響されます。
 阪神・淡路大震災では、死亡者の1割、負傷者の46%が家具の転倒によるといわれます。

家具固定の際の注意点

家具の固定に一番ふさわしいのは「壁」

 これからご説明する家具の転倒防止対策は、大変重要なことなので、しっかりと覚えてください。
 家具を固定するとき、取り付ける場所は大きく分けて「壁」「床」「天井」の3カ所になりますが、住宅の中で最も強度があるのは壁と床です。天井は日本家屋の場合、古くから吊り天井といわれているように、ただ乗せていて、簡単に止めているだけなので、ほとんど強度がありません。鉄筋のマンションで、梁が通っている場所なら何とかなりますが、一般的にみて、家具の固定に一番ふさわしい場所は壁なのです。

「壁の中」と「金具」に注意

 さて、壁であればどこでも良いと思ってはいけません。壁の中には「間柱、胴縁」といって、一定間隔で4〜5㎝の角材が縦横に入っていますから、必ずそこに取り付けてください。
 最近の住宅の壁はほとんどが耐火ボードなので、ボードにビスや釘を打っても、全く効果が得られません。しかも耐火ボードの厚みは約12㎝で、固定金具自体の厚みが3㎜、ボードに貼り付けてあるクロスが約1㎜、合計しますと16㎜ですから、20㎜程度の短いビスや釘は、全く役に立たないことになります(図参照)。
 使用する固定金具ですが、厚みが3㎜以下のものは、激しい揺れ(震度6程度)では曲がってしまい役に立ちませんから、購入時はこの点に気をつけましょう。肝心のビスは、長さは少なくとも30㎜以上で、太さ4㎜のビスが必要です。壁の中の強度を知るために、壁センサーや下地さがし針でわかりますから、間違わないように、間柱(縦材)と胴縁(横材)を確認したうえで、しっかり固定してください。
 震災時、室内ではあらゆるものが跳んだり転倒したりします。しっかり固定しましょう。

事例1:転倒防止をしていたが役に立たなかった実例

事例2:学校関係者がテレビとテレビ台を固定していたと思われますが、ベルトが引き千切られてしまい、跳んでいます。もし学校が休みでなければ…

岩瀧幸則さん

岩瀧幸則
いわたき・ゆきのり
 阪神淡路大震災で被災者となり、屋内対策の重要性を提唱するため、静岡市に移住。ジャパンシステムサービス株式会社社長。全日本地震防災推進協議会会長

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内閣府政策統括官(防災担当)

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