平成20年8月末豪雨による被害状況等について
大雨の状況
8月26日、東シナ海を進んできた低気圧が九州南部に接近。これに伴い、27日にかけて西日本の太平洋側を中心に、南から暖かく湿った空気が流れ込み大雨となりました。また、この低気圧が日本の南海上に進んだ28日から31日にかけては、本州付近に停滞した前線に向かって南から非常に湿った空気の流れ込みが強まり、大気の状態が不安定となって、東海、関東、中国、および東北地方などで記録的な大雨となり、河川の増水や土砂崩れが発生しました。
愛知県岡崎市岡崎では、29日の1時間雨量が観測史上1位を更新する146.5mmに達し、他の地域でも、1時間雨量の記録を更新した地点が全国で20カ所を超え、局地的な短時間の非常に激しい雨が降りました。
気象庁では、愛知県をはじめとする各地で大きな被害をもたらしたこの大雨を「平成20年8月末豪雨」と名付けています。


主な人的被害と住家被害の状況
9月10日現在の発表によると、この豪雨による人的被害は、愛知県で死者3人(うち1人は、この災害によるものか確認中)、負傷者2人。千葉県で負傷者1人となっています。愛知県岡崎市で亡くなった2人の方は、76歳の女性が家の中で水死、行方不明となっていた80歳の女性は、後に日間賀島(南知多町)にて遺体で発見されています。
住家被害は、全壊5棟、半壊が1棟、一部破損が18棟、床上浸水が1678棟、床下浸水が8071棟が発生しています。

被害の大きかった愛知県岡崎市伊賀川周辺(写真提供:岡崎市)

家屋が全壊した東京都八王子市(写真提供:八王子市)

※愛知県名古屋市の住家被害(半壊1世帯、一部破損1世帯、床上浸水1149世帯、床下浸水8071世帯)は左記表では未計上
※茨城県の一部損壊の5棟は突風によるもの
避難の状況
避難勧告は、8月28日から29日にかけて、愛知県名古屋市、岡崎市など3都県7市町で合計約51万世帯を対象に発令されました。
その他の被害等の状況
土砂災害は、8月28日から9月1日にかけて24都道府県234市町村に土砂災害警戒情報が発表され、東北から九州地方までの31町村で54件の土石流やがけ崩れが確認されています。
河川の状況は、計画高水位を超えた河川が愛知県庄内川水系など延べ4水系、4河川。はん濫危険水位を超えた河川が延べ4水系、5河川。避難判断水位を超えた河川が延べ14水系、17河川となっています。
また、ライフラインにおいては、全国で停電が延べ約8万8500戸、都市ガスの供給停止が114戸、断水が142戸となっています(すべて復旧済み)。
道路や交通機関への影響は、都道府県道の4区間で全面通行止め。鉄道は、京王電鉄では高尾山口駅から高尾山駅の間で列車が脱線し、運転中止などの被害がありました(8月30日に運転再開)。
政府の主な対応等について
この豪雨に対しては、林防災担当大臣を団長とした関係省庁からなる政府調査団を愛知県へ派遣したほか、災害対策関係省庁連絡会議を開催し、情報の共有と今後の対策について申し合わせました(8月29日)。
また、自衛隊では愛知県知事からの災害派遣の要請を受け、孤立住民の有無・調査等を実施しました。
愛知県は8月28日を適用日として、愛知県名古屋市及び岡崎市に対して災害救助法及び被災者生活再建支援法を適用しました。