特別企画 平成20年版 防災白書を発表

2.地域防災力の強化に向けて

高まる共助の役割

 地域社会が防災に果たす役割には極めて大きなものがあります。例えば、阪神・淡路大震災では、約8割の人が家族や近隣住民によって救出されたと言われていますし、平成19年の能登半島地震や新潟県中越沖地震では、町内会など自主防災組織による高齢者等の避難支援などが迅速かつ効果的に行われました。
 また、近年の災害では高齢者が犠牲者の多数を占めています。今後、日本の高齢化はさらに進展し、地方における過疎化も進行するなど、予想される中で、高齢者等を地域ぐるみで支援するなど、地域社会における共助の果たす役割が一層増大します。

地域防災力の低下

 一方で、例えば、消防署と連携しながら災害時の消火・救助活動等の役割を担う消防団は、団員数の減少・高齢化が進行しているなど、地域防災力の低下傾向が大きな懸念事項として浮かび上がっています。
 背景としては、これまで消防団を支えていた年齢層から入団者を確保することが難しくなっていることが指摘されています。今後、地域防災力の要としての消防団などの強化、そのための新たな担い手の確保が重要な課題となっています。

消防団員の年齢構成比率の推移
消防団員数の推移

共助への参加意識と行動とのギャップ

 社会意識に関する世論調査をみると、自主防災活動や災害援助活動に参加したいと回答した人の割合は、ここ10年で約15%から約22%まで増加し、阪神・淡路大震災の際に延べ130万人以上の人々が各種のボランティア活動に参加したことを契機に、災害へのボランティア活動の機運が高まっています。
 このような機運の高まりの一方で、ボランティア活動に関心があっても、実際に活動に参加した人の数は、必ずしも多くはないという調査結果があり、地域防災の側面においても、災害に対する高い関心を共助への参加行動へといかに結びつけていくかが課題として浮かび上がってきます。

ボランティア活動への関心と行動のギャップ

共助への参加行動の促進

 意識調査において、地域における防災活動に参加しなかった理由を見ると、効果的な広報活動等を通じて地域の防災活動と住民の接点を増やすことが重要であり、例えば、ボランティア活動に対する国民の関心をより高めるような工夫を強化する必要があります。
 また、別の意識調査では、災害発生時にボランティアとして参加したい条件として、自分の親類縁者や知人が住んでいる地域の災害であることを挙げている人が相当数います。このことから、共助の促進は、「顔の見える」地域社会の実現のための取組みと併せて進めることが重要だと考えられます。
 また、「行政機関、自治会、ボランティア団体などから要請」を参加の条件と考える人も相当数いますので、信頼が置ける体制づくりや、被災地のニーズに的確に応えるような情報提供体制の整備等を今後とも着実に進めていく必要があります。

女性の地域コミュニティ防災への参画

 避難所における女性被災者のニーズへの配慮や女性高齢者のケアなど、女性がよりきめ細やかな対応が出来る役割があります。消防団においても、平素から地域コミュニティと密接に関わり、地域の情報を持っている女性団員は、地域の防災リーダーとしての役割が期待されています。女性消防団員数は、平成元年から平成19年にかけて10倍近くに増加しています。
 能登半島地震からの復興を祈念して開催された「女性のための防災会議」など、女性の視点からの防災対策について積極的に情報発信する動きもあり、こうした取組みにより女性の地域防災への参画が促進されることが期待されます。さらに、女性のニーズを反映した災害対策の確立や女性の現場への参画を確保していくため、防災に関する政策・方針決定過程における女性の参画を拡大していくことも必要です。

事業継続計画(BCP)等企業防災の推進

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