Disaster Management NEWS— 防災の動き

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首都直下地震避難対策等専門調査会 帰宅行動シミュレーション結果の公表について

中央防災会議「首都直下地震避難対策等専門調査会」では、首都直下地震時に膨大な数の発生が想定されている避難者・帰宅困難者対策に関する検討を行っており、このたび、首都直下地震発生後に生じる道路の混雑状況やそれに対する対策の効果をシミュレーションした結果をとりまとめました。

シミュレーションの特徴

 地震発生後の状況下で、「(会社等に)滞在する」か「徒歩帰宅する」か、「休憩する」か「歩き続けるか」等の行動選択に関して、2万問以上のアンケートを通じて、どのような条件なら、どの程度の割合の人がどのような行動を選ぶかを明らかにした行動選択モデルを構築しました(地震発生後の行動に関する効用関数を求め、それを用いて帰宅行動をシミュレーションしたのは日本初)。この行動選択モデルに基づいて、帰宅者が、それぞれの考えに応じた徒歩帰宅行動をとる様子をシミュレートし、想定される帰宅困難者問題の実態を定量的に明らかにしました。

シミュレーション結果の概要

  1. 基本ケース
     現況で特段の対策を講じなかった場合を模した「基本ケース」の場合、都心部や火災延焼部を中心に、あちこちの道路が満員電車状態(1m²あたり6人以上の密度)となります。そのような状態に3時間以上巻き込まれる人が、全域で約200万人にのぼります。都区内にいる人の約3割、都心(千代田・中央・港区)にいる人の約4割が満員電車状態に3時間以上巻き込まれます。
     帰宅地別にみると、たとえば都心の丸の内から川越街道方面の埼玉県和光市まで、平時は約5時間のところ、火災等の影響を受けて約15時間かかります。丸の内から横浜市までの場合、平時は約8時間のところ国道1号等における混雑の影響を受けて約15時間かかります(図参照)。
    図:混雑度(15時00分)
    図:混雑度(15時00分)
    基本ケース(12時発生、天候晴れ、幹線以外一部利用、全橋梁通行可、建物倒壊考慮有、火災考慮有、帰宅経路混雑情報利用不可、安否情報提供改善無)
  2. 対策を実施したケース
     施策効果等を測るため、条件を変えてシミュレーションを行いました。各種対策を講じた場合、満員電車状態の混雑に3時間以上巻き込まれる人の割合は、下のように変化します。
  • 一部の帰宅者の帰宅を翌日にずらす翌日帰宅の場合、3分の1翌日帰宅すると約半分に、半分が翌日帰宅するとおよそ4分の1に減少します。
  • 発災日の帰宅行動を「徐々に」行う時差帰宅の場合、帰宅時間を3時間の幅で分散すれば約2割減少し、6時間の幅で分散すれば約3分の1減少します。
  • 家族の安否確認ができる時間を短縮した場合、安否確認に要する時間が6時間に短縮することにより約1割減少します(基本ケースでは全員が安否確認できるまで24時間と設定)。
  • 帰宅経路の混雑情報等を把握できた場合、帰宅経路の混雑状況等を完全に把握できれば約6割減少します。
  • 火災や建物倒壊が発生しない場合、火災や建物倒壊がまったく発生しなければ約7割減少します。
  • 各種の対策(2分の1翌日帰宅、安否情報改善、帰宅経路の混雑情報提供、建物の耐震化・不燃化)を複合的に実施すれば、約200万人から約6000人へ激減します。

今後の予定

 今後は、シミュレーションで明らかになった困難な状況を緩和・解消するために、翌日帰宅・時差帰宅の促進等による一斉帰宅の抑制(そのために必要な、安否確認の改善や企業や学校での一時収容対策の促進)、経路情報等の提供、帰宅経路における支援策、都心部等の滞留者対策、主要駅周辺での混乱防止策などの具体的な検討をさらに進め、今年度内を目途に帰宅困難者対策をとりまとめる予定です。
 なお、帰宅行動シミュレーション結果の詳細については、下記のURLからご覧いただけます。
https://www.bousai.go.jp//kaigirep/chuobou/senmon/shutohinan/index.html

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