Disaster Report 国内災害復旧・復興レポート

能登半島地震から2年 住まいと地場産業の復興
石川県 危機管理監室・震災復興支援室

平成19年3月25日に発生した能登半島地震。震度6強の揺れは、現地に大きな傷跡を残しました。災害から2年経った今、被災地の復興に向けた取り組みをお伝えします。

 能登半島地震の発生から、間もなく2年が経過しようとしています。
 石川県では、昨年を「復興元年」と位置づけ、「能登半島地震復興プラン」に基づき、(1) 安全・安心な暮らしの再建、(2) 産業の再建・復興、(3) 持続可能な地域づくり、(4) 風評被害の払拭などに官民一体となって取り組んできたところ、それぞれの分野において本格的な復興に向け、大きな前進をみることができました。以下、その主な取り組みについて紹介します。

住宅の再建

 被災地の復興の根幹を成す住宅再建への支援については、改正され使い勝手が良くなった国の被災者生活再建支援制度に加え、県が独自に創設(負担額:県2/3、市町1/3)した制度により、全壊世帯で最大400万円が支給されており、県内外の多くの方々から寄せられた義援金も170万円が支給されております。
 さらに、県が創設した500億円規模の「能登半島地震復興基金」の運用益を活用し住宅再建を支援しています。その一つとして、住宅を建設する際の参考にしていただくため、能登の風土にふさわしく、低価格で良質な「能登ふるさとモデル住宅」を県内3カ所に建設しました。
 こうした取り組みなどの結果、自力再建を望む被災者のほとんどの方が住宅を着工または完成し、住宅の再建は順調に進んでおります。
 また、応急仮設住宅には、ピーク時に329世帯736人(平成19年6月29日現在)の方が入居されておりましたが、現在は約4割の128世帯286人(平成21年3月17日現在)まで減少しております。現在入居されている方々も、再建中の住宅の完成や、市町が建設している災害公営住宅(60戸)の完成などにより、順次転居される見通しとなっております。

地震で被災した家屋

輪島市河井町モデル住宅

災害公営住宅(松風台団地)

能登半島地震の被災状況

地場産業の復興

 地場産業の復興については、前述の復興基金と併せて創設した300億円規模の「能登半島地震被災中小企業復興支援基金」を活用し、奥能登の主要産業の一つである輪島塗や商店街・酒造業を中心に、ハード、ソフト両面から支援したことにより、ほとんどの事業所が営業を再開しています。
 なお、昨年7月に開催された北海道洞爺湖サミットの歓迎夕食会では、輪島塗の盃が乾杯に使用されました。このことは、輪島塗を世界に向けて発信するとともに、能登半島地震からの復興を国内外にアピールすることができました。

上/洞爺湖サミットで使用された輪島塗の盃
左/能登清酒ブランディング事業の開発商品(写真提供:すべて石川県)

風評被害の払拭

 観光立県を標榜している石川県にとって、これから観光シーズンを迎えようとしている時期に発生した能登半島地震は、能登地域を中心に全県的な風評被害の影響を及ぼしました。風評被害の払拭を図るため、昨年7月から10月にかけて能登半島の魅力を全国に発信する「能登ふるさと博」や加賀地方の粟津・片山津・山代・山中温泉が連携した「加賀四湯博」の開催などに、地元の皆さんと一体となって取り組んできた結果、これらのイベントの開催期間中の観光入り込み客数が、地震発生前の平成18年に比べて増加(2%増)するなど、順調に回復しており、元気になった能登・石川を全国にアピールすることができました。
 被災地の復興は、これまでのところ、総じて、順調に進んでいるものの、まだ道半ばであり、これからも、被災地の方々のニーズをくみ取り、地元市町と連携しながら、復興に向けた取り組みを加速させ、1日も早い「持続可能な能登の再生と創造」の実現を目指していきます。

能登ふるさと博のポスター
加賀四湯博のポスター

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