日本の火山 vol.05 岩手山(岩手県)

二つの表情を持つ、東北の富士

 岩手県盛岡市の北西約15kmにそびえる岩手山は標高2038m。なだらかな稜線を描く東側とは異なり、西側は荒々しい岩稜を持つ。東西ではその表情が全く異なる複雑な山並みで、別名「岩手富士」「南部片富士」「岩鷲(がんじゅ)山」などと呼ばれる。
 70万年前から幾度となく噴火を繰り返し、中でも1686年の山頂噴火は歴史に残る規模を記録。御室火口のマグマ水蒸気爆発に始まり、火砕サージ、火山泥流が発生し、降灰は近隣の市町村にまで及んだ。1732年の噴火では溶岩が流れだし、約150haにも及ぶ「焼走り溶岩流」(国の特別天然記念物)を形成。今も当時の噴火の激しさを物語っている。1919年の大地獄谷での水蒸気爆発の後も火山性微動や多くの地震を観測するなど、現在も火山活動は続いている。
 荒々しい火山の印象がある一方で、身体を癒してくれる温泉も多く、西側の滝の上温泉や網張温泉、玄武温泉、北側の松川温泉や八幡平温泉などがある。露天風呂から眺める岩手山もまた、格別だ。

岩手山と盛岡市内の北上川 (C)KAKU SUZUKI / SEBUN PHOTO / amanaimages

岩手山
玄武岩から安山岩の西岩手・東岩手の二成層火山が結合。爆発型噴火が特徴だが、溶岩の流出も多数認められる。現在、活動的で特に重点的に観測研究を行うべき火山の一つ。噴火警戒レベル1(平常)。1月19日現在

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