シリーズ 一日前プロジェクト(第5回)

もし、1日前に戻れたら…
私たち(被災者)から皆さんに伝えたいこと

地震、津波、風水害……さまざまな災害を実際に体験した方に、「もし、一日前に戻れたら何をしますか?」と訊ねたのが、「一日前プロジェクト」。被災者の声は、私たちにいろいろなことを教えてくれます。今月のテーマは『宮城県北部地震(平成15年7月26日)その1 発災』です。

やっぱりやっておけば良かったな −転倒防止した家具だけは倒れず−(東松島市 60代 女性)

 地震でびっくりして飛び起きて、とにかくケガをさせないようにしなきゃと思い、孫を抱きかかえて、わきによけたすぐ後に天井の蛍光灯が落ちてきたの。まさに間一髪。
 で、寝室から居間のほうに行こうと思って、ドアをあけようとしたら開かなくて、何で開かないのかと思って、それこそ思いっきり押したら、台所のものが全部倒れていて、それで開かなかったんですよ。
 やっとその上をこえて居間に行ったら、2段重ねの和ダンスの上だけ、2段目がテーブルを越えて、2mぐらい吹っ飛んでいました。もうテレビは倒れる、人形ケースは割れる、本棚は倒れるで、足の踏み場もないほどでした。
 転倒防止器具をつけていた家具だけは倒れなかったので、やっぱり全部にやっておけば良かったなと思いました。

やっぱりやっておけば良かったな −転倒防止した家具だけは倒れず−

梅酒、マムシ酒も上からガシャン −重いものは高いところにおかないようにしました−(石巻市 50代 男性)

 テレビも吹っ飛ぶぐらいの揺れだったから、台所の冷蔵庫も流しに倒れかかって、中のものがどんと出ていました。
 それから、流し台の上に上げていた梅酒とかマムシ酒とかが入ったガラスの容器も全部落ちて、床一面が水浸しになりました。
 とにかくどこから手をつけていいのかわからないほどの状況でしたが、一番困ったのが「におい」です。お酒やら食べ物やらいろんなものが混じったにおいは、口であらわせないくらいすごくて、息をするのもやっとでした。
 せっかく作ったお酒がなくなってしまったのはちょっぴり残念でしたが、家族がケガをしなかったので、ホッと胸をなでおろしました。あれからはもう、重たいものを上に置くことはやめました。

梅酒、マムシ酒も上からガシャン −重いものは高いところにおかないようにしました−

おっかねがった −二階の座敷も下に落ちた−(東松島市 80代 女性)

 おっかねがったね(怖かったね)、ほんとうに。夜中の地震のときは、座敷に置いてあったタンスが2つひっくり返りました。それから4段になっている戸棚の戸が外れて中のものが落ちました。男手がないのを心配して来てくれたおいっ子が、かたづけを手伝って帰っていったのが午前4時半ごろでした。私は、「まだ早いから、少し寝るか」って、寝たんです。朝いつもどおりに起きてご飯の支度が終わって、「お母さん、起きたらどう」と言っていたら、もっと強い地震が来たんです。母が起きた途端に、ベッドの上に、タンスが両側から倒れこみました。知らずに寝ていたら、つぶされて亡くなっていたかもしれません。
 とにかくものすごい揺れで、茶の間のガラス戸や網戸が全部外れて吹っ飛び、道に散乱しました。網戸が玄関わきの柱にぶつかってひっくり返ったせいか、網戸の真ん中を柱がつきささっている異様な写真が残っています。結局、二階の座敷も下に落ちたし、部屋の中もめちゃくちゃになってしまって、家を建て直さなければなりませんでした。たんぼを埋め立てたところに建っていたから、よけい揺れたんだろうと思います。

おっかねがった −二階の座敷も下に落ちた−

https://www.bousai.go.jp/km/imp/

被災者の実体験を聞くことができる『一日前プロジェクト』は上記HPでも見ることができます。家庭はもちろん、地域や職場など、さまざまな話が掲載されていますので、企業の「社内報」や地域での「広報」に幅広く活用してください。


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