令和8年版 防災白書|第3部 第1章 7 火災対策


7 火災対策

(1)火災に関する研究

消防庁においては、次の研究を行う。

  • 市街地火災等の大規模延焼火災による被害を抑制するための研究開発

大規模な地震直後の市街地同時多発火災に加え、大船渡市で発生したような林野火災など延焼火災による被害拡大を抑えるため、三次元空間データに対応した消防力運用シミュレーション、林野火災等における建物への飛び火火災警戒・防御、火災旋風発生予測モデルの大規模火災への適用及び社会変化に対応し持続可能な消防活動技術の研究開発を行う。

  • 消火活動困難な火災に対応するための消火手法の研究開発

近年急増する大規模倉庫では、ひとたび火災が発生し初期消火に失敗すると、急激な延焼拡大により消火が極めて困難な火災となる。実際、そのような火災は多発しており、消防隊員の殉職も起きている。このような火災に対処するため、区画火災のより安全で効率的で効果的な消火手法の研究開発及び開発した消火手法を実用化するための現有消防資機材を活かした資機材開発を行う。

  • 火災・危険物流出等事故原因調査に関する研究

特異な火災事案が発生した際、今後の防火安全対策に有効な知見を得るために火災原因調査を行い、火災原因調査技術の高度化を図るために必要な現地調査用資機材、サンプル採取・分析方法、火災現象の再現方法、火災原因の推定・特定手順等について体系的な調査研究を行う(後掲 第1章8(1))。

  • 火災原因調査及び火災避難の高度化に関する研究開発

精確な火災原因究明による火災予防及び火災による人的被害予防のため、近年各地で相次いで発生しているバイオマス発電所の火災及び急増する電気火災に対する火災原因調査能力の向上に関する研究及び大規模地震等の災害による長時間停電時の照明不十分な状況下での高層建物における避難時間推定方法の高度化に関する研究を行う。

  • EV火災を対象とした道路トンネル内等消防活動困難空間における危険回避に関する研究

トンネルなどの消防活動困難な空間での電気自動車(EV)の火災に対して、安全な消防活動を実施可能にするために、電気自動車の燃焼性状・消火方法、漏洩ガスや濃煙を安全かつ効果的に除去する方法及びトンネル等での爆発現象・その周囲への影響の把握に関する研究を行う。

(2)林野火災に関する一般研究

国立研究開発法人森林研究・整備機構においては、林野火災対策として、林野火災の発生・拡大危険度に関する研究を行う。

(3)建築物や都市の火災安全性向上技術の研究開発

国立研究開発法人建築研究所においては、引き続き、火災による被害の軽減等による住宅・建築・都市の高度な火災安全性の確保に向けた技術に関する研究開発を行う。

(4)建築火災時の避難弱者の行動特性に基づく避難安全設計に関する研究

国土交通省国土技術政策総合研究所においては、高齢者、車いす使用者、妊婦等のいわゆる避難弱者が安心して建築物を利用できるよう、建築火災発生の際の避難時のバリアフリー化に関する避難安全設計ガイドラインを作成する。

(5)林野火災リスクに対応した市街地火災対策技術の研究

国土交通省国土技術政策総合研究所においては、林野火災による市街地・建築物への影響を定量的に評価し、対策を講ずるための研究開発を行う。


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