1-8 ボランティア活動の環境整備について
発災時には、ボランティア、NPOその他多様な団体が被災地に駆けつけ、きめ細かな被災者支援を行い、重要な役割を果たしている。内閣府においては、ボランティア・NPO等による被災者支援の活動が円滑に行われるよう環境整備に努めており、近年、大規模災害時には、行政・ボランティア・NPO等の多様な被災者支援主体が連携し、情報の共有及び活動の調整をしながら、被災者支援の活動を行うことが定着してきている。
(1)官民連携による被災者支援体制整備の推進
内閣府が令和8年2月に実施した「被災者支援に関するアンケート調査」によると、27都道府県において、災害中間支援組織が設置されていると回答された。また、その他の20府県からは、官民連携による被災者支援体制や災害中間支援組織設置にむけて検討中との回答を受けた。
内閣府では、行政、社会福祉協議会等の災害ボランティアセンター関係者、NPO等が平時から顔を合わせ、連携・協働する時の諸課題について議論し、相互理解を深められるよう、研修会を実施している。令和7年度は、「多様な主体間における連携促進のための研修会」をオンライン配信により実施し、多様な主体間の連携の必要性について行政、社会福祉協議会、災害中間支援組織等それぞれの立場から説明を行い、45都道府県から約590名が受講した。
(2)官民連携による被災者支援体制整備モデル事業
専門性を有するNPO、企業等の多様な民間主体が、被災者支援の担い手としてその能力を有効に発揮できる環境を整備するためには、都道府県域レベルで、多様な担い手間の活動調整や情報共有等のコーディネーションを行う災害中間支援組織の設置や機能強化を進めていくことが重要である。このため、内閣府ではモデル事業により、災害中間支援組織を設置・機能強化しようとしている都道府県に対する支援を行い、取組の更なる加速化を図った。具体的には、官民連携による被災者支援人材育成・訓練や県域の民間団体のネットワーク化などの取組を進めた。
また、本モデル事業で得た知見やノウハウについて、他の都道府県に対して広く共有し、全国において都道府県域での災害中間支援組織の設置等に向けた取組が進むよう支援した。
(3)避難生活支援リーダー/サポーターモデル研修・避難生活支援コーディネーター育成OJTに向けた検討
近年、自然災害が激甚化・頻発化しているとともに、避難生活が長期化することで、避難所の設置期間が数週間から数箇月に及ぶ場合もあり、避難生活環境の向上が課題となっている。発災により様々な業務を抱える中で、避難所の開設後、その運営を市町村等の自治体職員が中心となって担い続けることには限界があり、被災者の避難生活支援に当たっては自助・共助の視点を欠かすことはできない。また、長期化する避難所の運営には専門の知識・スキルが必要となる。
このため、内閣府では、令和3年5月に取りまとめられた「防災教育・周知啓発ワーキンググループ(災害ボランティアチーム)」の提言を踏まえ、意欲のある地域の人材に、体系的なスキルアップの機会を提供することで、避難生活支援の担い手となる人材を各地に増やし、地域の防災力強化につなげていく「避難生活支援・防災人材育成エコシステム」の実現に向けた取組を進めている。
令和7年度は、避難生活支援を担う人材である「避難生活支援リーダー/サポーター」の育成を進めるためのモデル研修を全国24地区(東京都豊島区、熊本県菊陽町、福岡県福岡市、愛知県西尾市、静岡県富士市、長野県筑北村、高知県四万十町、富山県小矢部市、新潟県新発田市、青森県弘前市、岐阜県下呂市、岡山県真庭市、千葉県富津市、石川県白山市、京都府亀岡市、愛媛県松山市、福井県大野市、鳥取県、広島県三原市、兵庫県西宮市、大阪府和泉市、山梨県市川三郷町・早川町・身延町・南部町・富士川町、山口県山口市及び群馬県高崎市)で実施した。モデル研修は事前のオンデマンド学習(1単位20分程度×8単位)と2日間の講習と演習で構成され、演習では、避難所の様子を再現した会場での環境改善演習やロールプレイによる対人コミュニケーション演習等を行った。
(4)被災者支援団体への交通費補助事業
近年、災害が激甚化・頻発化しており、また、千島海溝地震、日本海溝地震、首都直下地震及び南海トラフ地震等の切迫性も高まっている。我が国においては大規模災害が発生した際に、行政のみでは十分な被災者支援を担うことは困難であり、また、高齢化・過疎化が進む中で被災者支援を量・質ともに充実させることが求められている。例えば、令和6年能登半島地震においては、多くの特定非営利活動法人や災害ボランティア団体等が被災地に駆けつけ、これらの被災者支援団体による避難所の運営支援や炊き出し、家屋保全、被災家屋の片付けなどの支援が実質的に公助の役割を担っていた事例が報告されている。
このような背景を踏まえ、被災地に支援に駆けつけるNPOや災害ボランティア団体等の交通費について支援する「特定非営利活動法人等被災者支援活動費補助金(被災者支援団体への交通費補助事業)」を令和7年1月から開始した。本事業については、被災者支援活動を行うボランティア団体等が被災地に駆けつける際に必要となる交通費を補助する事業で、申請1件あたり上限50万円とし、令和6年度(対象期間:令和7年1月10日から3月31日まで)は200件を超える活動を、令和7年度は230件を超える活動を支援した。
(参照:https://www.bousai.go.jp/kyoiku/bousai-vol/kotsuhojyojigyo/index.html)

(5)被災者援護協力団体登録制度の創設
災害時には、豊富な支援経験を有するNPO・ボランティア団体等が被災地において様々な支援を実施し、被災者支援に大きな役割を果たしている。このような方々が発災直後から被災者支援の担い手として、その能力を発揮できるよう、官民連携体制の強化のため、令和7年の「災害対策基本法」の改正により、避難所の運営支援、炊き出し等の被災者援護に協力するNPO・ボランティア団体等を国が「被災者援護協力団体」として登録する制度を創設した。
登録された団体情報(団体名、活動内容、活動エリア等)をデータベース化して自治体等と共有することで、平時から「顔の見える」関係づくりを促進し、発災直後からきめ細かく、質の高い被災者支援の実施を進めている。

