1-3 防災訓練・防災教育の取組
災害発生時には、国の行政機関、地方公共団体、その他の公共機関等の防災関係機関が一体となって、住民と連携した適切な対応をとることが求められることから、平時から関係機関が連携した訓練等、防災への取組を行うことが重要である。このため、防災関係機関は「災害対策基本法」、防災基本計画(「災害対策基本法」第2条第8号に規定するものをいう。以下同じ。)、その他の各種規程等に基づき、災害発生時の応急対策に関する検証・確認及び住民の防災意識の高揚を目的として、防災訓練を実施することとされている。
令和7年度は、防災訓練実施に当たっての基本方針や政府における総合防災訓練等について定めた「令和7年度総合防災訓練大綱」(令和7年7月1日中央防災会議決定)に基づき、以下のような各種訓練を実施した。
(1)「防災の日」総合防災訓練
令和7年9月1日の「防災の日」に、首都直下地震発生直後を想定した石破内閣総理大臣(当時)を始めとする閣僚による官邸への徒歩参集訓練並びに南海トラフ地震を想定した静岡県知事、高知県高知市長及び和歌山県串本町長も参加する緊急災害対策本部会議の運営訓練を行い、また、埼玉県さいたま市を主会場とする九都県市合同防災訓練に石破内閣総理大臣(当時)や関係閣僚等が現地調査訓練として参加した。
(2)政府図上訓練
令和7年12月に首都直下地震を想定した緊急災害対策本部事務局運営訓練(内閣府(中央合同庁舎第8号館ほか))及び緊急災害現地対策本部運営訓練(東京湾臨海部基幹的広域防災拠点(有明の丘地区))を連動させて実施する予定であったが、令和7年青森県東方沖を震源とする地震が発生したことから、いずれも中止となった。
また、現地において、被災が想定される都道府県と連携し、千島海溝地震、日本海溝地震、首都直下地震及び南海トラフ地震等を想定した緊急災害現地対策本部運営訓練を実施した。令和7年10月に神奈川県横浜市、富山県富山市及び大阪府大阪市、同年11月に宮城県仙台市、栃木県宇都宮市及び北海道札幌市、同年12月に京都府京都市、令和8年1月に宮崎県宮崎市及び熊本県熊本市、同年2月に香川県高松市及び愛知県名古屋市において、現地に参集した上で、状況付与型訓練及び討議型訓練を実施した。なお、熊本市における緊急災害現地対策本部運営訓練には、現地対策本部長として古川内閣府大臣政務官が参加した。
(3)孤立集落状況把握・支援訓練
令和6年能登半島地震において多くの集落が孤立し、避難や物資供給等の支援に時間を要したことを踏まえ、令和7年度から内閣府では地方公共団体と連携し、孤立集落状況把握・支援訓練を全国16か所(青森県三戸町、秋田県男鹿市、千葉県、神奈川県相模原市、神奈川県山北町、富山県小矢部市、山梨県市川三郷町、岐阜県山県市、愛知県岡崎市、京都府、大阪府千早赤阪村、奈良県十津川村、奈良県上北山村、広島県福山市、長崎県長崎市及び沖縄県うるま市)で実施した。これらの訓練では、発災時に交通・通信等が途絶して集落が孤立することを想定して、情報伝達訓練や物資輸送訓練等を行った。
(4)防災教育の取組
<1> 防災教育の展開
全ての国民が災害から自らの命を守るためには、災害時に国民一人一人が適切な行動をとることができるようになることが極めて重要である。このため、こどもの頃から必要な防災知識や主体的な防災行動を身に付けることができるよう、実践的な防災教育を全国に展開していく必要がある。
政府においては令和4年3月に閣議決定された「第3次学校安全の推進に関する計画」に基づき、令和7年度は、文部科学省において、学校種・地域の特性に応じた地域全体での防災を含む学校安全推進体制の構築を図るための都道府県等への支援、防災教育に関するセミナーの開催や専門家派遣、全国的な学校安全指導者研修会の開催等を行った。
また、内閣府においては、防災庁設置準備アドバイザー会議報告書において「国民一人ひとりが災害を我が事と捉え、適切な行動によって自ら命を守り抜くことができるよう、防災に対する国民の行動変容をもたらすための取組を推進する。」と提言されたことを踏まえ、「国民の行動変容を促すための防災教育」に関する有識者ヒアリングを実施し、防災教育の現状や課題、今後の取組の方向性等について整理した。また、デジタル技術を活用した防災教育の事例を収集し、事例集を作成した。
さらに、令和7年12月23日にNPO法人未来会議及びNSF PROJECTs主催・内閣府共催で、防災をテーマに「全国高校生未来会議」が開催された。会議には、全国から約100名の中学生・高校生が参加し、大木聖子慶應義塾大学環境情報学部准教授、川崎杏樹(株)かまいしDMC いのちをつなぐ未来館職員、加藤拓馬一般社団法人まるオフィス代表理事による講演や参加学生によるグループワーク及び発表が行われた。あかま内閣府特命担当大臣(防災)は、ゲストとして登壇し、津波のスピードなどを尋ねる「あなたの災害『備え』度テスト」を交えながら、災害を「自分ごと化」することの大切さを参加学生へ伝え、交流を深めた。
<2> 防災教育の活動支援
防災教育への意欲を持つ全国各地の団体・学校・個人などの多様な主体が連携した防災教育活動を募集し、1年間にわたって有識者の助言や活動資金等の支援を行う「防災教育チャレンジプラン」は平成16年度にスタートし、令和7年度までに延べ379団体の実践活動を支援した。
令和8年度の実践団体の募集においては、時代に即した歓迎テーマとして、ⅰ「防災教育を継続・定着させるためのチャレンジ」、ⅱ「防災人材を育成するためのチャレンジ」、ⅲ「火山防災教育のチャレンジ」を設定し、その結果、32件の応募があり、最終的に12団体を実践団体として選定した。これまでの実践内容や活動の様子などは、「防災教育チャレンジプラン」ホームページにおいて公開している。
(参照:https://bosaijapan.jp/challenge-plan/)

<3> 地域全体(コミュニティ)による防災教育実践活動の推進
防災庁設置準備アドバイザー会議報告書等では、「令和6年能登半島地震」等の教訓を踏まえて、また、今後発災が予測される千島海溝地震、日本海溝地震、首都直下地震及び南海トラフ地震に備えて、事前防災の強化の必要性が指摘されており、防災教育を通じたコミュニティでの「自助」・「共助」において防災力の強化が喫緊の課題となっている。そこで、令和7年度から、地域住民等の防災意識を高め、自発的な防災活動への取組と防災能力の向上に資するとともに、幼少期のこどもから大人までの事前防災能力の向上及び地域を担う意識の醸成等を図るため、地域防災力の向上に資する「コミュニティ防災教育推進事業」を開始した。
これは、地域住民・団体等、教育機関等(大学等を含む学校、保育所、認定こども園、幼稚園、公民館、コミュニティセンターなど)、地元企業等が連携して地域全体(コミュニティ)による防災教育活動を推進し、更に優良事例を形成、普及モデルを構築・普及することで、「コミュニティ防災教育」の全国展開を目指す事業である。令和7年度は全国35か所のモデル地区においてコミュニティ防災教育の実践活動を行い、事例集や手引き等の成果物を作成し、ホームページ等において発信している。また、シンポジウムも開催した。
内閣府は、モデル地区の活動支援、実践活動の内容・成果の収集・分析及び成果物の作成・普及を行った。



